濾胞性の非ホジキンリンパ腫。再発後の治療は?
非ホジキンリンパ腫(濾胞性B細胞型)の4期で、R-CHOP療法を受け、1度は寛解になったのですが、それから3カ月経って再発してしまいました。今後、治療を再開する予定ですが、造血幹細胞移植やリツキサン(一般名リツキシマブ)の投与など、選択肢が多く、悩んでいます。再発後の治療には、それぞれどのような効果があるのか教えてください。
(東京都 女性 44歳)
A 再発の病期や部位によって治療法は異なる。形質転化に注意が必要
非ホジキンリンパ腫はびまん性と濾胞性に分けられます。一般的に、濾胞性の非ホジキンリンパ腫は年単位でゆっくり進行しますが、完全寛解にはなりにくいのが特徴です。
また、濾胞性の悪性リンパ腫には、今のところ標準治療がありません。一方のびまん性の悪性リンパ腫は、進行は速いのですが、抗がん剤が効きやすいという特徴があります。
文面からは、再発の状態がわかりませんが、仮に、病理組織が濾胞性のグレード1であるなら、リツキサンだけで治療することもあります。グレード2や3の場合は、リツキサンに抗がん剤を加えた治療のほうがよいでしょう。また、首のリンパ節だけが再発したのなら、その部位に放射線を照射することもあります。
濾胞性の悪性リンパ腫は、途中からびまん性に細胞の性質が変わる「形質転化」を起こすことがあります。形質転化を起こすと、非常に難治性の腫瘍になるので、早急な治療が必要です。逆に言うと、濾胞性の場合は、ゆっくり進行するため、経過を観察することもあります。
ご相談者の場合、寛解後3カ月で再発したことを考えると、形質転化を起こしていることもありえます。再度病理組織検査を行い、もし形質転化を起こしていたら、サルベージ(救援)療法後に造血幹細胞移植を行うことも選択肢の1つに入ってきます。形質転化を起こしていなくても、治癒をめざし、造血幹細胞移植を行うこともあります。
造血幹細胞移植は、患者さん自身の造血幹細胞を用いる自家造血幹細胞移植と、他人の造血幹細胞を用いる同種移植に分けられます。いずれの場合も、移植を行う前に、抗がん剤やリツキサンを使ったサルベージ療法を行います。
通常は、自家造血幹細胞移植を行い、それが功を奏さなかった場合は同種移植を検討します。同種移植は重い合併症を発症することもあるので、慎重に検討することが必要です。また同種移植は、原則としてHLA(白血球の型)が一致しているドナーがいないと行えません。