放射線治療の副作用がきつい。良い対策はないか?
60歳になる父のことで相談します。ホジキンリンパ腫(ホジキン病)の2期と診断されました。ABVD療法*を受け、さらに首の周辺と縦隔に合計40グレイの放射線照射を受けました。治療後まもなくしてから、放射線の副作用でツバと声が出にくくなるなどの症状が出ています。また、口の中やのど、胸のあたりがかなり痛むようで、食事をするのが困難な状態です。現在は食道の粘膜を保護する薬を使っていますが、ほかに副作用を軽減する方法はないでしょうか。
(鳥取県 男性 33歳)
A 口の中を湿らせたり、流動食をとる方法も。治療が終わると徐々に回復する
ツバ(唾液)が出にくくなっているのは、放射線によって、唾液腺が障害されたためです。唾液腺とは、口の周りにある唾液を作る組織のことで、耳下腺、顎下腺などがあります。
唾液には、「食べ物を飲み込みやすくする」「口の中の乾燥を防ぐ」「細菌に抵抗する」などの重要な働きがあります。
唾液の減少を補うため、口の中をいつも湿らせておいたり、清潔に保ったりすることが大切です。口中を湿らせるためには、水を入れたペットボトルなどを携帯し、随時、少しずつ飲むのもよいでしょう。
食事は、流動食を試してみてはいかがでしょうか。液体の高カロリー食がありますから、口の中などの痛みがひどい場合は、それで栄養をとるとよいと思います。もし水も流動食も痛くて飲めない場合は、痛み止めを使用し、脱水症状を予防するため、点滴などを受ける必要があります。
放射線による痛みは、照射した線量などによりますが、通常、放射線治療が終わってからひと月ほどで治まります。唾液腺障害は、放射線治療の終了後、半年くらいから徐々に回復していきます。声が出にくいのも、放射線治療が終わると、徐々に緩和されていくでしょう。
しばらくは苦痛や不便が続くと思いますが、治療が終わると徐々に回復しますので、上記の方法などで対応してみて下さい。
*ABVD療法=アドリアシン(一般名ドキソルビシン)、ブレオ(一般名ブレオマイシン)、エクザール(一般名ビンブラスチン)、ダカルバジンの4剤を組み合わせた抗がん剤治療