高齢の父が抗がん剤の服薬をきちんとできない
78歳の父が、悪性リンパ腫でR-CHOP*療法を受けています。ただ、家で飲む薬を間違えるのか、病院でもらってくる袋の中に薬が残ってしまうことが、ときどきあります。治療に問題はないのでしょうか。父は1人暮らしをしており、認知症の症状もありません。私が仕事をもっていることもあり、父の通院に付き添ったり自宅での服薬に注意を払いきれない状況です。
(埼玉県 女性 45歳)
A 薬を整理したうえで対策を相談して
服薬の自己管理がうまくいかないという問題は、どのような治療にもよく起こります。高齢者などで治療法や服薬法の理解が難しい場合は、外来のスタッフやご家族と協力して、治療が適切に運ぶように調整しなくてはなりません。
R-CHOP療法の場合でいうと、治療に先立ってさまざまな薬が患者さんに渡されています。それらは、抗がん剤の点滴を受ける前に病院で飲む薬(副作用を抑える薬)や、3日間の外来通院後に自宅で服用する薬(プレドニン*)、また、自宅で副作用が出たときに飲む頓服の薬などがあります。それらをまず、「病院で飲む薬」と「家に帰ってから飲む薬」として袋などに分けるなど、お父様がわかるように整理する必要があるかと思います。
さらに、高血圧などの持病をお持ちでしたら、その薬も加わります。具体的には、日付ごとに飲むべき薬を小分けできる区切り付きの入れ物などに整理してあげるのもよいでしょう。また、実際に飲めたかどうかを娘さんが確認されて、メモなどにして医師に伝わるようにすることも大切です。
プレドニンは治療の第1日目(点滴治療当日)から自宅で5日間飲む薬ですが、決められた時間に飲み忘れた場合は、その日のうちに飲むようにします。ただし、この薬は、寝る前に飲むと目が覚めてしまい、眠れなくなることがあります。就寝直前に飲むことになる場合は、その日の分は翌日に回し、自宅で4日間飲むところを5日間に延ばして服用してもよいでしょう。その場合は、次の通院時に医師にそのことを伝えます。
抗がん剤は、決められた投与方法に従ってこそ最大の効果を発揮します。たとえば「吐き気が今日はつらいから」などと、自己判断で服用を調整できるものではありません。その点をご本人にご確認されることも大切です。お父様の生活の様子を主治医や看護師や薬剤師に伝えて、患者さんに合った具体的な対策を相談されるとよろしいかと思います。
*R-CHOP療法=リツキシマブ+シクロフォスファミド+ドキソルビシン+ビンクリスチン+プレドニゾロン *プレドニン=一般名プレドニゾロン