トレアキシンの治療について教えてほしい
ろ胞性リンパ腫が再発しました。低悪性度です。トレアキシン*という新しい治療薬が出たとのことで、この治療法を勧められました。この治療法のメリット・デメリットを教えてください。
(東京都 男性 55歳)
A 治療効果が高く、吐き気、脱毛の少ない期待の治療
トレアキシンは2010年に日本で承認された、再発、または難治性の低悪性度B細胞性非ホジキンリンパ腫、マントル細胞リンパ腫の治療に用いられる薬剤です。
国内で行われた臨床試験の結果では、ろ胞性リンパ腫に代表される低悪性度非ホジキンリンパ腫の約90%の患者さんにリンパ節の縮小効果が認められました。また、治療開始から増悪までの期間(無増悪生存期間)は、20カ月でした。この20カ月は中央値といって、治療開始からの期間を順番に並べたときに全体の中央にくる人の値です。
また、治療後1年間、リンパ節が増悪(大きくなること)しなかった患者さんの割合は70%でした。
気になる副作用ですが、トレアキシンは、脱毛が少なく、骨髄抑制(白血球、赤血球、血小板の低下)もゆるやかですが、発疹や蕁麻疹などの皮疹や、アレルギー反応がおこることがあります。
最も注意したいのは免疫力の低下で、感染症に注意します。肺炎の予防薬を継続して内服します。人ごみに出ない、外出後手洗い、うがいを積極的に行うなど、感染予防が必要です。
投与方法は、3から4週間ごとに2日連続で、各60分間の点滴を受けるというものです。もちろん、外来での治療が可能です。
今年の米国臨床腫瘍学会では、初めての治療に、リツキサン*と併用して投与され、R-CHOP療法*より高い治療効果が認められ、副作用である脱毛、末梢神経障害、感染症の発症率が低いことが報告されました。
*トレアキシン=一般名ベンダムスチン *リツキサン=一般名リツキシマブ *R-CHOP療法=エンドキサン(一般名シクロホスファミド)+アドリアシン(一般名塩酸ドキソルビシン)+オンコビン(一般名ビンクリスチン)+プレドニン(一般名プレドニゾロン)の4剤による抗がん剤治療であるCHOP療法に、リツキサンを併用した治療