神経芽腫の家族がいると、発症リスクが高いか

回答者:牧本 敦
国立がん研究センター中央病院 小児科医長
発行:2009年3月
更新:2013年12月

  

現在6歳の長女は生後2カ月のとき、神経芽腫(神経芽細胞腫)と診断されました。右副腎の神経芽腫瘍で、肝臓にも転移していましたが、手術や化学療法などで治癒し、今は元気に過ごしています。相談したいことは、現在5カ月の次女についてです。今のところは気になるような症状はないのですが、姉が神経芽腫になったことで、妹もなる可能性が高いということはあるのでしょうか。自治体では今は行われていないスクリーニング検査を受けたほうがよいでしょうか。

(宮城県 女性 33歳)

A 発症リスクに関係はなく、スクリーニング検査を受ける必要はない

神経芽腫の家族がいることで発症のリスクが高まることはありません。上のお子さんが神経芽腫になったからといって、下のお子さんのリスクが高まることはないので、その点はご安心ください。

神経芽腫のマススクリーニング検査は以前は行われていましたが、2004年に中止されました。マススクリーニングを行っても、神経芽腫患者の死亡数が減少しなかったことが最大の理由です。治療の必要のない小さな腫瘍まで見つけてしまう一方で、本当は必要のない手術によって命を落とすなどの事態も起きています。このように、マススクリーニング検査の功罪の罪のほうが大きいという指摘があり、中止に至りました。

そうして考えると、下のお子さんがスクリーニング検査を受ける意味はほとんどないでしょうが、「神経芽腫になっていない」という安心感を得るという意味合いはあるかもしれません。ただし、もし神経芽腫が見つかった場合、治療方針を決めるのは難しい問題です。マススクリーニングで発見された神経芽腫に対する最適な治療方針はまだ決定していないのです。結論的には、妹さんがスクリーニング検査を受ける医学的な必要性はないと考えます。

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