局所にできたがんに、レーザー治療を希望

回答者:出江 洋介
都立駒込病院 食道外科医長
発行:2011年3月
更新:2014年2月

  

3期の食道がんで、手術と抗がん剤治療を行いました。ところが再発してしまいました。食道の局所に再発したので、内視鏡で取るといわれました。ですがレーザーによる治療もあると知り、レーザーの治療を受けてみたいと思っています。レーザー治療とは一体どんな治療なのでしょうか。また、どのように効果があるのでしょうか。

(宮崎県 男性 69歳)

A 内視鏡切除が一般的。症例によってはレーザーも

相談者の場合、おそらく再発というよりは、残った食道にまた新たながんができた、異時多発病変であると思われます。それ自体は早期がんであるといえます。したがって再発ではなく、新しくできた早期の病変なので内視鏡で切除する方法とレーザー治療があります。

レーザー治療には高出力レーザーで焼灼する方法と、腫瘍選択性光感受性物質を用いた光線力学的治療法(PDT)があります。

高出力レーザーは、化学放射線治療をして、がんは小さくなったけれど残ってしまったような場合に行われます。そのような残ったがんは瘢痕化していることが多く、内視鏡で切除すると食道の壁に穴が開いてしまう危険性があるため、レーザーで焼いてしまったほうが良いのです。

また、内視鏡で切除する際、粘膜下層に生理食塩水を打ち込み、病変を浮き上がらせて剥離するのですが、そこに線維化が起きている場合は剥離が難しく、筋層まで切り込んでしまい、穴が開いてしまうおそれがあります。ですからこういった場合もやはりレーザーによる焼灼が選択されます。

PDTとは、低出力のレーザー治療です。事前に光感受性化学物質の薬剤を注射しておき、腫瘍の部分に集まらせます。薬剤が集まった部分は光に反応するので、弱いレーザーを当てることで、やけどさせるという治療法です。

しかし、薬剤が腫瘍のところだけに集まるとはいえ、全身に回っているため、制限が必要であるなど管理が大変であり、行っている施設はあまり多くありません。

通常の早期がんであれば、内視鏡で切除するのが一般的です。内視鏡では病変の様子をきちんと確認することができ、また切除した後、病理検査によってがんの病態や深さを調べることができます。レーザーで焼いてしまうと、そういったことがわからないため、内視鏡切除のほうがより確実であるといえます。

また日本では内視鏡の技術が進んでいて、慣れている医師も多いです。

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