ESDとはどんな治療法か

回答者:矢野 友規
国立がん研究センター東病院 内視鏡部医師
発行:2008年5月
更新:2019年7月

  

3センチほどの食道がんで、ステージは0期であろうと診断されました。ESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)という内視鏡治療を勧められています。なんでも以前はEMR(内視鏡的粘膜切除術)という方法を行っていたそうですが、去年からESDも行うようになってきたと聞きました。雑誌などで調べてみると、胃がんのESDについてではありますが、「ESDは誰にでもできるものではなく、繊細にかつ大胆に切る技術が必要」などと書いてある記事もあります。ESDは、医師による技術力の差がかなりあるのでしょうか。また、EMRとESDの違いはそもそも何なのでしょうか。

(石川県 男性 63歳)

A メリットが多いが、医師に高度な技術が必要

ESDは、まだ新しい技術で、確かに医師による技術力の差がかなりあります。できるだけ経験豊富な医療施設で受けることをおすすめします。

ESDは当初、胃がんの治療に導入されました。最近では、先進的な施設では食道がんや大腸がんの治療にも、徐々に行われるようになってきています。

EMRにはさらに、ストリップバイオプシーやEMR-C法などの方法があります。

ストリップバイオプシーは一般的に広く行われているEMRで、まずがんがある部分の下の粘膜下層に生理食塩水などの液を注入し、病変を浮き上がらせます。そして、隆起した病変を内視鏡で確認しつつ、つまみ上げて、スネアというワイヤ(輪っか状の電気メス)をかけて締め、高周波電流を通して切断します。

EMR-C法は、内視鏡の先端に病変を吸引できる機具を付けて、その機具で病変を吸い上げ、スネアで切除します。しかし病変が大きい場合は、吸い上げる際に病変がちぎれてしまうこともあります。

がんの周囲の粘膜下層に生理食塩水などの液を注入し、病変を浮き上がらせる過程までは、ESDもEMRと共通しています。ESDでは、病変が膨らみ、隆起したら、まずその周囲を電気メスで丁寧に細かく切っていきます(全周切開といいます)。その後、同じ電気メスを使って、粘膜下層をそぎ落としていきます(剥離といいます)。病変の辺縁を確認しながら切除することができるため、EMRよりも病変を正確に切除できるメリットがあります。その後の顕微鏡による病理検査も、より正確にできます。

また、EMRは通常2センチ以下の小さながんを対象にしていますが、ESDにはがんの長軸については制限がありません。ご相談者の3センチのがんにも対応できます。ただし、食道の壁は4ミリ程度とかなり薄く、そうしたところで細かな操作をするため、出血や穿孔(孔があくこと)などの合併症が起こることが少なくありません。その意味でも、ESDには高度な技術が求められるのです。

ESDを受けるのが不安であれば、主治医にESDの経験を聞いてみてもよいかもしれません。また一般的には、食道がんの治療を多く行っている医療施設は、ESDにも早くから取り組んでいる可能性が高いでしょう。

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