化学放射線療法後の晩期障害が心配

回答者:矢野 友規
国立がん研究センター東病院 内視鏡部医師
発行:2008年5月
更新:2013年11月

  

食道の真ん中あたりにがんが見つかり、ステージは2期であろうと言われています。治療法は(1)手術、(2)手術前の化学療法+手術、(3)化学放射線療法のいずれかを勧められ、悩んでいますが、年齢や体力面を考え、化学放射線療法をお願いしようと思っています。

化学放射線療法を受けた場合、晩期障害という障害が起こることがあると主治医から聞いて不安になりました。半年から1年後、あるいはもっと後に、肺に水がたまったり、心不全になったりすることもあるとも聞きました。晩期障害は予防できるのでしょうか。また、なった場合、よい治療法はありますか。

(岡山県 男性 73歳)

A 放射線の3次元照射などで対応。起きた場合の対策もある

晩期障害は、化学放射線療法を行った後、数カ月から数年を経て、起こる障害です。がんが治った後にも起こりえます。

食道がんに対する化学放射線療法の晩期障害は、主に肺と心臓に起こります。肺臓炎(放射線治療が原因で起こる肺炎は肺臓炎といいます)がおきたり、胸に水がたまったり(胸水といいます)、不整脈や心筋梗塞、心不全を起こしたりします。

化学放射線療法を行って、治った人の約10パーセントに、治療が必要な肺や心臓の合併症が起こりうるというデータもあります。

こうした晩期障害の原因は主に放射線治療にあると考えられています。そのため最近は、放射線の3次元照射を行って、肺や心臓に放射線がなるべく当たらないような治療を実施している医療施設も増えてきています。また、照射する放射線の総量を軽減して、晩期障害が起こりにくいような治療法も試みられています。

肺臓炎に対してはステロイド剤が有効であったり、胸水がたまったり心不全になったりした場合には、利尿剤を使った治療で改善することがあります。

化学放射線療法後に咳、息切れや動悸がひどくなる場合は、早めに主治医の先生に相談するように心掛けてください。

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