3センチの肝細胞がん。手術か?ラジオ波焼灼療法か?
肝硬変との診断を受け、その後カテーテルを入れて検査をしたところ、3センチの肝細胞がんであることがわかりました。手術で切除するか、ラジオ波焼灼療法を受けるか、どちらかを選ぶように主治医に言われましたが、とても迷っています。それぞれのメリットやデメリット、治療成績を教えて下さい。
(愛知県 62歳 男性)
A どちらの治療成績もほぼ同程度
「Q:肝臓がん手術の危険性は?ほかの治療法は?」のお答えとも関連しますが、肝細胞がんの場合、手術でがんを切除するか、ラジオ波焼灼療法を行うかは、学会や医師の間でも意見の分かれる問題です。2つの治療法の成績を比較した確実なデータはありませんが、ほとんど同程度の治療成績ではないかと考えられています。
手術は、実際に目で確認してがんを切除するので、局所的な確実性は高いと言えます。この点、ラジオ波焼灼療法はCTで判定することもあり、治療効果の判定が手術に比べやや不確かと言えます。
体に対する負担は、ラジオ波焼灼療法のほうが小さく済みます。手術の場合、3センチの肝細胞がんであっても、がんだけ切除するのではなく、場所などによっては、肝臓を4分の1や2分の1程度切除することもあります。ラジオ波焼灼療法は、皮膚を2~3ミリ切って電極を挿入する治療法で、患者さんの体への負担は大きくありません。
また、手術が成功しても、C型肝炎や肝硬変から発生した肝細胞がんの場合、5年以内に8割の人が再発します。ですから、手術が成功しても、がんが治ったとは言えないのが現状です。手術を行って再発した場合、再手術はなかなかできませんが、ラジオ波焼灼療法は体への負担が小さい分、再発しても、比較的容易に再治療を行えるメリットがあります。
局所の根治性でいえば、ラジオ波焼灼療法は全体的には手術よりやや劣りますが、医療機関によっては手術に遜色がありません。ラジオ波焼灼療法は手術に比べ、医療機関による技術の格差がまだかなりある治療法と言えます。
先にもお話ししたように、肝細胞がんに対する手術とラジオ波焼灼療法の治療成績はほとんど変わらないと言われます。最近は、手術が少しでも危険な場合はラジオ波焼灼療法を選ぶ傾向があります。肝機能などをもう1度考慮の上、検討されるとよいでしょう。
どうしても決断できない場合は、セカンドオピニオンを求められるのもよいでしょう。手術でもラジオ波焼灼療法でも、セカンドオピニオンを選ぶ目安の1つには、症例数の多い医療機関や医師であることが挙げられます。