腺がんの1A。放射線治療と手術、どちらがいいか

回答者:坪井 正博
神奈川県立がんセンター 呼吸器外科
発行:2008年8月
更新:2019年8月

  

胸部レントゲン検査で、左肺の肺野部に異常が見つかりました。PETなどで精密検査をしたところ、非小細胞肺がんの腺がんの1Aで、腫瘍の最大径は3センチです。自分で集めた資料のなかに、強度変調放射線治療というのがありました。放射線だけで治せるようですが、新しい治療法なので、多少不安もあります。やはり、手術で切除したほうがよいのでしょうか。ご意見をお聞かせください。

(愛媛県 女性 68歳)

A 手術が標準的治療

強度変調放射線治療(IMRT)とか定位放射線治療(SRT)という放射線治療は、合併症がなくてよいと言われますが、放射線治療だけですべての人が本当に治るのかどうか、手術と同じような効果かどうかは、臨床データが少ないため、わかっていません。海外の医療機関と協力して、放射線治療で治せるのかどうかの臨床試験に取り組もうとしています。ですから、「放射線治療が絶対大丈夫です」とはいえないのが現状です。

現時点では、手術が標準的治療で、確実な治療法です。手術前の画像診断では、リンパ節転移がないと診断されていても、その20パーセントは、手術のときに、縦隔リンパ節転移が見つかります。画像診断上の影のところだけをターゲットに、放射線治療を行っても、よく見えなかったリンパ節転移をそのままにしてしまうことがあります。手術は嫌なので、放射線治療を選びたいという場合には、リンパ節転移があるかも知れないというリスクを承知する必要があります。

結局、手術による怖さという不安をとるのか、新しい治療なのでデータが少ないという不安をとるのか、どちらかだと思います。68歳と若いのですから、身体的なリスクがなければ手術を選んだほうがよいと思います。

手術後の5年生存は、腫瘍の大きさとも関係します。相談者の場合、3センチなので1A期と推定されますが、1A期は、2センチ以下なら1Aa期、2~3センチなら1Ab期に分かれます。術後5年生存率は、前者なら約95パーセント、後者は85パーセントほどと、統計学的に明らかに差があります。このことも含めて、治療選択をしてください。

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