腺がんの3期。手術ができれば、治癒は可能か
最近、非小細胞肺がんの腺がんと診断されました。右肺上葉に原発性がんと縦隔リンパ節転移があり、3期と言われました。すぐに手術をするのは難しいようです。そこで、化学療法と放射線療法をしたあとで、手術を行う予定です。化学療法はパラプラチン(一般名カルボプラチン)とタキソテールの2剤併用とのことです。手術ができるようになれば、治癒は可能なのでしょうか。こうした治療法の有効性について、教えてください。
(滋賀県 男性 53歳)
A 治癒の可能性は期待されるが、危険性もある
手術前に化学放射線療法を行ってから手術をするという方法によって治癒の可能性を高められることは期待されています。しかし、この方法は、まだ試験的に行われている段階であり、ほかの治療法に比べて、確かに優れていると確認されてはいません。
実際、化学放射線療法のみで治療した場合と、化学放射線療法の後で手術を行う場合とでは、あまり差がないか、むしろ前者のほうが優れているかもしれないとする報告もあります。
治癒の可能性のほかに、治療の危険性の問題もあります。化学療法や放射線療法によって身体が弱ったところで手術を行うのですから、いきなり手術を行う場合よりも手術の危険性が高まるのは当然です。ことに、片側の肺すべてを切除すること(肺全摘)が必要な場合には危険性が高くなることが知られており、とくに、右肺全摘は危険性が高いとされています。
たとえば、07年のカナダからの報告では、化学放射線療法の後に手術をした場合、手術死亡率は7.5パーセントでした。死亡例はすべて肺全摘例で、肺全摘例に限ると、手術死亡率は27パーセントにも達しています。
ですから、化学放射線療法の後でも右肺全摘が必要かもしれないのであれば、手術は控え、化学放射線療法を続けるほうがよい可能性があります。担当医とよく相談なさってください。