転移のない扁平上皮がん。負担のかからない手術方法は?

回答者:吉田 純司
国立がん研究センター東病院 呼吸器外科医長
発行:2008年7月
更新:2019年8月

  

67歳の父の相談です。検査を受けた病院で、肺がんを告げられました。担当医の説明では、非小細胞肺がんの扁平上皮がんとのことです。左肺の上葉に、腫瘍が1つあるとのことです。大きさは3センチほどで、リンパ節転移や、遠隔転移はないとのことです。手術を予定しています。父のような肺がんの場合、手術による治療成績はどの程度なのでしょうか。また、できるだけ体に負担のかからない手術方法にしたいと考えています。どんな手術方法にしたらよいのでしょうか。

(東京都 女性 37歳)

A 開胸手術と胸腔鏡手術がある

病気の進み具合(病期)としては、腫瘍の大きさが3センチ以下なら1A期、3センチを超えると1B期です。ただし、手術前の診断と胸を開いてみて、あるいは取れたものを顕微鏡で調べてみての診断とでは、病期が異なることもあります。

日本で1999年に行われた1万3010例の肺がん手術を肺癌登録合同委員会が集計した報告によると、手術後の5年生存率は、手術前1A期では77.3パーセント、手術後1A期では83.9パーセント、手術前1B期では59.8パーセント、手術後1B期では66.3パーセントでした。

できるだけ体に負担がかからない手術方法としては、胸腔鏡手術があります。胸に3カ所ほど小さな孔を開けて、その孔から胸腔鏡という細長いビデオカメラと、手術器具を挿入して手術する方法です。通常の開胸手術は、胸腔鏡手術よりも胸の壁につく傷が大きくなる分、体への負担は大きいのですが、胸の中で行うことはどちらも同じです。むしろ、開胸手術は傷が大きい分、自由度が高く、さまざまな角度から臓器にアプローチできますので、胸腔鏡手術よりも臓器自体への負担はかかりにくいともいえます。

手術後の痛みは、どちらの方法でも多少なりともありますが、痛み止めでコントロールできます。どちらの手術でも手術後4日から1週間で多くの方が退院できます。どちらの手術方法が決定的に優れているとは言えず、結局、担当医が慣れている方法で行うのがよいと思います。あとは、通院のしやすさ、医師との相性などでお決めになるのがよいでしょう。

ところで、ご質問の内容は、担当医にお聞きにならなかったのでしょうか? 手術を受けることがどの程度役立ちそうで、どのような手術が適切なのか、お聞きにならずに手術を受けようという決断はできないのではないかと思うのですが……。このような相談をなされる前に、お父さんの状態を最も把握していらっしゃるはずの担当医に、まずしっかりと話をお聞きになることをお勧めします。

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