局所進行膵がん。ジェムザール単剤か化学放射線療法どちらがいいか
3カ月前、膵がんが見つかりました。転移はなかったのですが腫瘍が大きいため、局所進行膵がんと説明を受け、ジェムザール*を使った化学療法を提案されました。セカンドオピニオンでは、5-FU*を使った化学療法に加え、放射線照射を行う化学放射線療法を勧められました。どちらの治療が良いのでしょうか?
(石川県 男性 52歳)
A ジェムザールを使った全身化学療法が一般的
ジェムザールが膵がんに有効であることが示される以前は、放射線と5-FUを併用した化学放射線療法が、唯一、局所進行膵がんに有効であると示された治療法でした。
現在は、ジェムザールが有効であることも証明されており、ジェムザールを使った化学療法が主流となりつつあります。
ただし、ジェムザール単剤での治療と5-FU+放射線の化学放射線療法を比較した臨床試験は行われていないので、どちらが優れた治療であるかは残念ながら確認されていません。
膵がんの治療での放射線照射は一般的には月曜日から金曜日までは毎日照射で、およそ1カ月半の間治療が必要であり、入院で行うにせよ外来で行うにせよ、患者さんの負担は大きいです。また、どうしてもお腹の中心に放射線を照射しなければならず、だるさや食欲不振などの副作用を招く恐れがあります。
一方、ジェムザールは吐き気や食欲不振などの副作用はありますが、比較的に軽く、治療自体も週に1回30分程度の点滴で済みますので、患者さんへの負担は比較的軽いです。
このような背景もあり、現在ではジェムザール単剤による治療が行われることが一般的になりつつあります。
また、全身化学療法の選択肢としては、ジェムザール単剤で行う方法とジェムザールに分子標的薬のタルセバを併用した治療方法があります。
タルセバを加えることで、ジェムザール単剤での治療よりも高い治療効果が証明されています。ただし、高い治療効果といっても劇的な違いではなく、タルセバを加えることで、単剤での治療よりも強い副作用が出ますし、タルセバは間質性肺炎という命に関わる重篤な副作用が出る可能性がある薬ですので、かかりつけの医師にきちんと全身状態を評価してもらった上で、考慮してください。
*ジェムザール=一般名ゲムシタビン *5-FU=一般名フルオロウラシル