糖尿病のコントロールが悪化。膵がんの可能性は?
2年前に糖尿病が見つかり、現在薬を飲みながら治療を行っていますが、最近、血糖値のコントロールが悪化しています。そうした中、先日テレビを見ていて、糖尿病を患っている人の中には、実はもう膵がんにかかっている人がいるということを初めて知り、もしかして自分もそうなのでは……と、かなり不安に思っております。1度、きちんと検査をしたほうがいいでしょうか。また今は地元のかかりつけの先生に診てもらっているのですが、がん専門の病院で診てもらったほうがいいでしょうか。
(長野県 男性 62歳)
A 膵がんの可能性も。検査は受けたほうがよい
2年前に糖尿病が発見され、経口の糖尿病薬にてコントロールされてきたのに、最近血糖値が高めになってきたという状況ですね。そのような場合には、確かに膵臓の検査を受けたほうが良いように思います。
膵臓は体のためにいろいろな働きをしていますが、「膵液」という消化液を分泌して食事の消化吸収を助ける外分泌機能と、「インスリン」というホルモンを分泌して血糖をコントロールする内分泌機能がその主な役割です。
膵臓にがんができると、これらの働きが悪くなる可能性があります。外分泌機能が低下し、膵液が少なくなると、消化吸収が悪くなり下痢などの症状が起こりやすくなりますし、内分泌機能であるインスリンの分泌が低下すると、糖尿病が発症、あるいは悪化する原因になります。
もちろん、糖尿病の発症や悪化にはさまざまな要因がありますから、これらの症状が起こったからといって、いたずらに膵がんを心配する必要はありません。
しかし、膵がんができると、このような症状が現れやすいのも事実ですので、糖尿病が見つかったり、悪化したりした場合には念のため、膵臓の検査を受けることをお勧めします。
とくに、腹痛や背部痛(背中に出る痛み)、食欲低下、体重減少などの症状を伴っている場合には膵がんの可能性が高まりますので、必ず検査を受けてください。
膵がんを疑った場合には、超音波検査や造影CT検査などの画像検査と腫瘍マーカー測定などの血液検査が診断に有効です。がんがまだ小さすぎる場合にはこれらの検査を行っても発見することが難しいこともありますが、腫瘍の直径が2センチ前後になると、多くは発見が可能になります。
膵がんを発見するためのこれらの検査に関しては通常、施設間に大きな差はありませんので、まずは地元の消化器専門医(消化器内科や外科など)のもとで、これらの検査を受けると良いでしょう。もし診断が迷われたり、あるいは膵がんが疑われたりした場合は、さらに専門の施設で紹介状や資料とともに受診してください。
なお、糖尿病を長く患っている方は、そうでない方と比べると、膵がんになりやすいという報告もあります。そのリスクは2倍程度と言われており、過度に神経質になる必要はありませんが、発症時や悪化時でなくても、糖尿病の方は定期的に膵がんの検査を受けられると良いでしょう。