膵管内乳頭粘液性腫瘍の治療法は?

回答者:上野 秀樹
国立がん研究センター中央病院 肝胆膵内科医師
発行:2010年4月
更新:2013年11月

  

検診で超音波検査を受けたところ、膵管内乳頭粘液性腫瘍と診断されました。腫瘍が膵体尾部に何個かあると言われており、医師からは手術を勧められています。インターネットで調べてみると、膵管内乳頭粘液性腫瘍には良性と悪性(膵臓がん)があるようですが、良性でも手術が必要なのでしょうか。また、手術以外でよい治療法はないのでしょうか。

(長野県 女性 53歳)

A タイプによって異なる

最近、超音波やCT(コンピュータ断層撮影)などの普及に伴い、検診や受診時に膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)を指摘される方が増えています。

膵管内乳頭粘液性腫瘍とは、膵臓にできる腫瘍の一種で、膵管(膵臓の管)にできた腫瘍が粘液を分泌するため、嚢胞(粘液が貯留した袋)ができたり膵管が拡張したりする疾患です。腫瘍ができる部位により、主膵管型、分枝型、混合型に分けられ、主膵管型や混合型は悪性(膵臓がん)の可能性が高いため、手術が勧められます。

一方、分枝型は良性のことが多く、治療を必要としないケースが大半を占めます。しかし中には悪性であったり、経過をみているうちに膵臓がんに変化したりすることがあるため、注意が必要です。

今のところ、良性から悪性に進展することを予防するような治療薬はなく、また、悪性になった場合には、手術で摘出するしか完治させる方法はありません。

したがって、分枝型と診断された場合で、良性と判断された場合には定期的に経過観察を行い、悪性もしくは悪性化する可能性が高いと判断された場合は手術を行うのが原則です。

膵臓の腫瘍は生検などで組織を確認することが難しいため、良悪の判断を画像診断に頼らなければならず、その鑑別が困難な場合もあります。しかし、ひとたび悪性化すると膵臓がんは一般に進行が早いことから、疑わしい場合も手術の対象になります。

2005年には、これまでの知見に基づいた「国際診療ガイドライン」が公表され、分枝型であっても、嚢胞径が3センチを越えるもの、嚢胞の内部に隆起があるもの、主膵管が7ミリ以上に拡張しているものなどは悪性のリスクが高く、手術が勧められるとされました。

ご相談者の場合は、悪性のリスクが高いと主治医が判断し、手術を勧めたのではないかと思います。手術の必要性やリスク、経過観察の適否などについて納得がいくまでご相談されることをお勧めします。また、他の医療機関にセカンドオピニオンを求められるのもよいでしょう。

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