転移ある膵臓がん。具体的な抗がん剤の選択肢は?

回答者:上野 秀樹
国立がん研究センター中央病院 肝胆膵内科医師
発行:2009年11月
更新:2019年7月

  

62歳の母が、体重が減ったため病院を受診し、膵臓がんと診断されました。肺にも転移が見つかり、主治医からは抗がん剤の治療を勧められています。考えられる治療として、(1)ジェムザール単剤、(2)TS-1(一般名テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム)単剤、(3)ジェムザールとTS-1の併用療法の3つが提示されました。どの治療を受けたらよいのか悩んでいます。

(東京都 男性 32歳)

A 標準治療はジェムザール。TS-1は期待され、評価中

肺に転移があるため、ステージ4b(JPS分類)の膵臓がんと考えられます。上記で回答しましたように、ステージ4bの膵臓がんに対してはジェムザール単剤が現在、標準治療とされており、一般臨床の場で広く使用されています。

一方、今回提示されたTS-1は、我が国で開発された経口の抗がん剤です。胃がんなどに対して効果があることが以前から知られており、膵臓がんに対しても臨床試験でがんが小さくなる効果が認められたため、2006年から保険が適用されています。

また、ジェムザールにTS-1を併用する治療も積極的に試みられており、それぞれの単剤療法よりも高い奏効率(がんが縮小する割合)が報告されています。

膵臓がんは有効な治療が少なく、使用できる抗がん剤は限られているため、膵臓がんに対してTS-1の保険が適用されたことは大変喜ばしいことです。

しかし、それによって治療の選択肢が増え、TS-1をどのように使用していったらよいか適切に評価していく必要性が生まれました。そこで現在、切除ができない進行膵臓がんの方を対象にした「ジェムザール単剤」「TS-1単剤」「ジェムザールとTS-1併用」の大規模なランダム化比較試験が行われています。

この結果が出るまでは(3年以内には結果が報告されることが期待されています)、今回提示された3つの選択肢のいずれが最適な治療であるかを明確に回答することはできません。したがって、膵臓がんに対しては、現時点ではジェムザール単剤が標準治療であること、およびTS-1単剤や併用療法は期待されているがまだ評価中の治療であることを認識した上で、個々の治療のスケジュールや副作用などをよく考慮して治療を選択されることをお勧めします。

副作用の説明は主治医から受けていると思いますが、併用療法では単剤療法よりも、骨髄抑制(白血球や血小板の減少)などが強くなる可能性があります。また、ジェムザールと他の抗がん剤の併用療法の効果は、全身状態がよい人でないと期待できないという報告も最近されておりますので、全身状態があまりよくない場合は、無理せずジェムザール単剤を受けることをお勧めします。

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