4a期の膵臓がん。化学放射線治療を受けるのがよいか

回答者:上野 秀樹
国立がん研究センター中央病院 肝胆膵内科医師
発行:2008年11月
更新:2013年11月

  

夫(62歳)は4a期(JPS分類)の膵臓がんと診断され、手術はできないと言われました。現在、ジェムザールの抗がん剤治療を勧められていますが、インターネットなどを見ると、抗がん剤治療に放射線治療を加える方法もあると書かれています。膵臓がんが厳しいがんであることは夫ともども承知していますが、夫は「なんとしても治したい」と強く思っています。放射線治療を加えることで、治る可能性(あるいは、長生きできる可能性)が少しでも出るのであれば、放射線治療も行ってほしいと思います。一縷の望みを叶えるには、放射線治療も加えてもらったほうがよいでしょうか。

(兵庫県 女性 61歳)

A 放射線治療を加えることのメリットとデメリットを判断

4a期の場合、主要な血管までがんが進展していると、根治は困難なため、延命を目的とした内科治療が適用されます。がんが進展したために根治手術ができない、こうした膵臓がんのことを(切除不能)局所進行膵臓がんと言います。局所進行膵臓がんに対しては従来、5-FU(一般名フルオロウラシル)という抗がん剤に放射線治療を組み合わせた化学放射線治療が広く行われていました。しかし、今から約10年前にジェムザールが登場し、保険適用になると、放射線治療を行わずにジェムザールを中心とした抗がん剤治療のみを行う選択肢が出現しました。また、治療法の開発も活発化し、ジェムザールを用いた化学放射線療法などの新しい試みも行われるようになりました。

現時点では、これらのいずれが局所進行膵臓がんにとって最適な治療であるか、はっきりとはわかっていません。最近、局所進行膵臓がんを対象に化学放射線療法と化学療法(ジェムザール)とを比較した臨床試験が海外から2つ報告されましたが、いずれも予定された人数が集まらず、十分なエビデンス(科学的根拠)は得られませんでした。抗がん剤治療に放射線治療を加えると、膵臓がんがよりコントロールされて長生きできる可能性はあると思いますが、治療前に放射線治療が適しているかどうかを判断することは、現時点では困難です。したがって、放射線治療を加えることにより予測されるメリットと副作用や入院期間の延長などのデメリットの説明を主治医から十分に受けた上で、患者さん本人の意向を尊重して治療を決められることが重要です。

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