77歳の父が膵がん。手術を選択すべきか
父(77歳)のことでご相談です。先日、ステージ2の膵がんと診断されました。主治医からの説明では、手術を行い、がんの部分を切除することが標準治療とのこと。ただし、父の場合、10年前に心臓病を患い、体力的な問題もあり、手術を行うにはリスクを伴うといわれました。手術を行わない場合、抗がん剤などの治療でどのくらい治るものなのでしょうか。ある程度のリスクを覚悟で、標準治療である手術を選択すべきなのでしょうか。今後の治療方針で悩んでいます。
(三重県 男性 43歳)
A 膵がん根治の可能性がある治療は手術のみ
膵がんの治療では、手術のほか、化学療法や放射線療法が、選択肢として挙げられます。膵臓の手術は、一般に体への負担が大きいため、できれば体への負担が少ない治療を選びたいというお気持ちはよくわかります。
しかし、膵がんを完全に治す(根治する)ことができる治療は手術しかありません。 膵がんや胃がんなどの固形がんでは化学療法や放射線療法のみで完治するのは困難です。したがってこれらの内科治療の目的は、元気で生活できる期間を延ばしたり、症状の緩和になります。相談者のお父様はステージ2の膵がんですので、主治医がお話されたように根治が期待できる手術が標準治療と考えます。ただし、ご高齢の方や心臓などに問題がある方には、手術はリスクを伴うこと、手術を受けても多くは再発してしまうことなどを考慮して、治療方針を決定する必要があります。
主治医から、予測される手術のリスクや合併症、再発の可能性などを十分お聞きいただいた上で、「ある程度リスクはあるが可能性にかけて手術を受けてみたいか、無理せず内科治療を行いたいか」をご本人の意向を尊重してお決めになられると良いと思います。
なお、内科治療にはさらに、「延命効果を期待して化学療法などの積極的な治療を受けるか、無理せず緩和治療のみを行うか」といった選択肢があります。ジェムザール*などの抗がん剤は、高齢の方でも比較的安全に投与が可能ですが、この場合も主治医から抗がん剤のリスクやメリットをよくお聞きになってからご検討ください。
*ジェムザール=一般名ゲムシタビン