膵管内乳頭腫瘍が増大。重粒子線治療ができるか

回答者:篠藤 誠
放射線医学総合研究所 重粒子医科学センター病院医師
発行:2012年1月
更新:2013年11月

  

5年前に膵管内乳頭腫瘍と診断されました。大きさは2センチでした。それから経過観察してきましたが、今年になって少しずつ大きくなり、半年間で2.8センチに増大しました。分化型の腫瘍と言われていて、場所は主膵管が分岐するところにあります。主治医の先生からは手術を勧められていますが、年齢が80歳と高齢なので、できることなら手術は避けたいと思っています。重粒子線治療を受けることはできるのでしょうか。

(岐阜県 女性 80歳)

A 手術が可能なら、手術による切除を勧める

膵管内乳頭腫瘍は膵臓にできる良性腫瘍の1つです。良性であれば治療をする必要はありませんが、一部に悪性化するものがあり、悪性化するものに対しては通常の膵がんと同様に治療の必要があります。

重粒子線治療は外来通院が可能です。治療中、治療直後も治療前とか変わらない日常生活を送ることが可能です。治療による体への負担は手術に比べれば少ないでしょう。

しかし、放射線治療には治療後数カ月から数年後に出現する晩期障害があります。膵臓の治療では周囲にある腸の障害が最も問題となります。周囲を腸に囲まれている部位への治療では、腸をさけて照射できなければ、出血、潰瘍、穿孔などの障害が問題となります。腫瘍の部位や進展度によっては、手術より危険性が高い場合もあります。

一方、治療効果に関しては、現段階では手術と同様の治療成績が得られている訳ではなく、膵がんに対する重粒子線治療は研究段階であり、安全性、有効性については今後さらに研究を続ける必要があります。

ご相談者の場合、サイズが大きくなっていることから悪性化の可能性を考慮する必要がありますが、サイズの変化だけで良悪性の判断ができる訳ではありません。CTやMRIなどの画像診断や生検などさまざまな検査で総合的に判断する必要があるでしょう。

重粒子線治療は悪性腫瘍に対する治療ですので、良性腫瘍には行いません。また膵管内乳頭腫瘍ではたとえ悪性化しても、早期に治療できれば手術で治る可能性が高く、予後は良好です。治療による副作用のみではなく、治療効果も合わせて考えると、手術を選択していただくことがより有益であると思われます。

穿孔=穴があくこと CT=コンピュータ断層撮影 MRI=核磁気共鳴画像法

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