子宮体がんの疑い。どんな検査が必要か

回答者:関口 勲
栃木県立がんセンター 婦人科・第一病棟部長
発行:2010年6月
更新:2013年12月

  

不正出血が続き、近所の婦人科医院に行きました。担当医から「子宮体がんの疑いがある」と言われ、細胞診検査を受けました。しかし、この検査だけでは判定がつきにくいとのことで、さらに詳しい検査が必要といいます。どんな検査が、必要なのでしょうか。また、子宮体がんは画像診断などの検査で判定できないのでしょうか。

(岐阜県 女性 52歳)

A 細胞診は誤診もあるため、組織診との併用が望ましい

不正出血が続き、子宮体がんの疑いがあった場合、一般的には経腟超音波検査で子宮の大きさ、内膜の厚さを調べます。この検査で内膜が厚いと、子宮体がんがより疑われます。

さらに、子宮内膜の細胞診や組織診の検査を行います。細胞診と組織診は、外来で麻酔なしで行います。組織診の検査時間は、5分ほどです。細胞の塊を採るため、細胞診よりも痛いです。子宮内膜の細胞診は子宮頸部の細胞診に比べて診断が難しく、がんがあっても異常なしと誤診されることがあります。そのため、組織診を併用することが望ましいです。

子宮体がんの組織型には、類内膜腺がん、明細胞腺がん、漿液性腺がんなどがあります。ほとんどが、類内膜腺がんです。類内膜腺がんは分化度といって、顕微鏡で見たがんの構造が正常の子宮内膜の腺にどの程度似ているかによって3段階に分類されます。正常内膜の構造に大変類似しているものはG1、腺の構造はとらずにがん細胞のみが散らばっているものはG3で、その中間がG2です。

分化度は、がん細胞の性格、悪性度みたいなものです。G1はがん細胞の性格はよく、G2、G3となるにしたがって、筋層浸潤が深くなり、リンパ節転移が増えるなどの傾向があり、より悪性の性格を持つと考えられています。

子宮内膜に組織としてがんの存在が確認されれば、子宮体がんの診断が確定します。画像診断は、治療のために必要な検査です。一般的には、MRI(核磁気共鳴映像法)とCT(コンピュータ断層撮影装置)の両方を行います。

MRIでは、子宮内の腫瘍の状態を確認します。MRIは、局所の状態がよくわかります。腫瘍の大きさ、子宮筋層へのがんの浸潤の深さもわかります。がんが子宮内膜のみにあって、筋層浸潤がないものが病期1A期、筋層浸潤が正常筋層の2分の1以下のものが1B期、筋層浸潤が2分の1以上のものが1C期となります。筋層浸潤が深くなるほど、リンパ節転移の頻度が高くなります。CTでは、主に子宮以外のがんの広がりを調べます。リンパ節、腹膜播種、腹水、肺や肝臓などの他臓器への転移などです。MRIやCTなどの所見から治療前のおおよその進行期を決定します。

リンパ節転移が疑われれば3C期、腹膜播種があれば3Aあるいは4B期、肺や肝臓などの他臓器に転移があれば4B期などとなります。

子宮体がんでは、原則として手術が施行され、子宮や卵巣などの摘出臓器の病理組織検査によって正確な病期の診断がされます。

細胞診=組織の表面から細胞をはがして採取し、がん細胞の有無を調べる方法

組織診=手術でとった臓器や、診断のために一部切りとった組織をみること

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