広汎子宮全摘術後の病理検査の結果、3C期の子宮体がん。再手術は必要か

回答者:磯西 成治
東京慈恵会医科大学付属青戸病院 産婦人科診療医長
発行:2008年6月
更新:2013年12月

  

子宮頸がんの2A期で、子宮内に筋腫もできていると診断され、広汎子宮全摘術を受けました。ところが、筋腫と思っていたものががんで、頸部のがんは実は子宮体がんの転移であることが病理検査の結果、判明しました。郭清したリンパ節にも転移が認められました。ステージ(病期)は3Cと言われています。抗がん剤の投与を行いつつ、早い段階で再手術を受けることを勧められています。再手術では、卵巣と卵管(当初は頸がんと思われていたため、前回の手術では、これらは摘出されていません)、大網、胃のリンパ節を切除するそうです。再手術は必要なのでしょうか。広汎子宮全摘術の後遺症もあり、さらに手術を受けることで負うリスクを考えると、怖いです。再手術を受けた場合の後遺症と、再手術を受けない場合の悪影響を教えてください。

(岐阜県 女性 43歳)

A 再手術の利点は少ない。主流は抗がん剤治療

子宮体がんの質問には、下記の情報を含めるべきです。

(1)がんの組織型

(2)CA125やCA19-9などの腫瘍マーカーの値

(3)がんのグレード(悪性度)

この3点は、治療法の方針を立てるために必要な情報です。

子宮体がんの最も一般的な組織型は子宮内膜がんです。腫瘍マーカーからは、がんの進行状況がある程度、推察でき、がんのグレードからはがんの悪性度や危険度が類推できます。一般的には、これらの情報を加味して、今後の治療方針を立てます。

今回の症例では、上記3点の状態にかかわらず、一般的なお答えをすることは可能です。

子宮体がんでは、大網と胃のリンパ節を切除すると、治療成績が改善するというエビデンス(科学的根拠)はありません。卵巣や卵管には転移している可能性はありますが、初回の手術で異常が認められなければ、再手術をして切除する利点は少ないと考えます。

抗がん剤の投与を行いつつ、再手術を行うという方法は、ご相談者のような状態の場合、標準的な治療法ではありません。

文面から判断される3C期の子宮体がんに対しては、標準治療である抗がん剤治療をおすすめします。その場合の抗がん剤は現在、シスプラチン(商品名ランダまたはブリプラチン)+アドリアマイシン(一般名塩酸ドキソルビシン)の2剤併用療法が標準とされています。この抗がん剤治療によって、寛解(病状が抑えられた状態)に至ることが期待されます。

抗がん剤治療を受ける前には、治療前の腫瘍マーカーの値を確認しておくべきでしょう。 抗がん剤の治療後、さらに余裕があれば、卵巣・卵管摘出、傍大動脈リンパ節の切除を考えるのは一法と思います。

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