子宮体がんの1期。リンパ節郭清は不可欠か

回答者:関口 勲
栃木県立がんセンター 婦人科医長
発行:2005年6月
更新:2013年12月

  

子宮体がんの1期だろうと言われ、「準広汎子宮全摘出術、骨盤内のリンパ節を郭清する」という説明を受けています。着物を着るのと海外旅行が生きがいで、リンパ浮腫にはできることならなりたくありません。リンパ節の郭清は、しないわけにはいかないのでしょうか。何かよい方法はないでしょうか。

(大阪府 女性 53歳)

A 組織型や浸潤の程度でリスクを勘案し決定する

子宮体がんの標準的手術は単純子宮全摘出術、両側付属器切除術、骨盤および傍大動脈リンパ節郭清術です。体がんの80パーセントは、類内膜腺がんというタイプ(組織型)で、大半は元の細胞の構造に似ていて、タチの悪くないもの(高分化型)です。

このタイプで、がんの筋層への浸潤が正常筋層の半分以下なら、リンパ節転移の頻度は5パーセント以下のため、米国ではリンパ節郭清の省略が可能と考えられています。日本でもリンパ節郭清を省略する術式が取り入れ始められています。実際には、術前組織検査で高分化型の類内膜腺がんで、MRI、CTなどの画像検査で筋層浸潤が浅くて、リンパ節転移の疑いがない場合、手術でまず子宮および両側付属器を摘出して、筋層浸潤が正常筋層の半分以下であれば、リンパ節郭清を省略することになります。この際、迅速病理組織検査にて筋層浸潤の程度を確認することが望ましいとされています。

子宮体がんのリンパ節郭清では骨盤と傍大動脈リンパ節ともに取り除きます。そのため、リンパ浮腫の出る可能性もありますが、日常生活に支障をきたすリンパ浮腫は10パーセントほどです。術後の放射線治療、肥満などがリンパ浮腫のリスクファクターではないかと思っています。

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