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事前に理解・納得して受けることが肝要

ホルモン療法の副作用対策 抗がん薬とは異なる副作用が発現

監修●湯浅 健 がん研有明病院泌尿器科がん分子標的薬治療・化学療法担当副部長
取材・文●「がんサポート」編集部
発行:2017年1月
更新:2017年1月

  

「ホルモン療法に入る前には副作用について十分知ることが大切です」と語る湯浅 健さん

前立腺がんを増殖させる男性ホルモンを抑えるのがホルモン療法。新薬が次々と登場するなど注目度も高いが、副作用への対応が課題となる。抗がん薬の副作用である嘔吐や脱毛などとは異なり、身体の内面的な機能に関わる副作用が発現するので対応も難しい。ホルモン療法の現状と副作用対策について専門医にうかがった。

身体への役割の多い男性ホルモンを抑制

がんの増殖を促す男性ホルモン(テストステロン)の産生を抑えることを目的とした薬物によるホルモン療法は、1990年代から導入が進んできた。薬剤は大きく2種類に分類される。1つ目が脳下垂体の働きを抑えて精巣からのテストステロンの分泌を抑制するLH-RH(黄体形成ホルモン放出ホルモン)アゴニスト(作動薬)、あるいはLH-RHアンタゴニスト(拮抗薬)、2つ目ががん細胞の男性ホルモン受容体の働きを抑制する抗アンドロゲン薬だ。

ホルモン療法が適応されるのは、①転移のある前立腺がん、②手術や放射線療法の補助療法または併用、③合併症や高齢などの理由で根治的治療ができない早期・中期のがん、となる(図1)。

図1 ホルモン療法の適応

ホルモン療法に詳しいがん研有明病院泌尿器科の湯浅健さんは「男性ホルモンを去勢レベルにする、ということです。ホルモンの90%以上が精巣(睾丸)で産生されているので、治療薬が開発される前は精巣を摘出する手術が行われていました。現在は新薬の開発も進み、治療選択肢が広がっています」と話す。

しかし、問題もある。

「男性ホルモンは骨を丈夫にしたり、筋肉を作ったり、脂肪を減らしたり、動脈硬化を防いだり、さらに性欲、やる気、記銘力(物覚え)などにも影響しています。男性ホルモンが産生されなくなれば、それらの機能が低下する可能性があります。問題は、利点でもあるのですが、抗がん薬の副作用と違って本人でも気付きにくいことです」(湯浅さん)

治療薬による副作用については、「男性ホルモンを抑えるという点ではどれも同じなので、筋肉量が少なくなり脂肪が増え、太って来ます」(図2)

図2 ホルモン療法の副作用への流れ

最近登場した治療薬では、2014年に承認されたイスクタンジは血液・脳関門を通過しやすいので、中枢神経系の障害が出ることがあります。疲労を感じたり、癲癇を起こす可能性もあります。同じ年に承認されたザイティガは肝障害を来すことがあるので気を付ける必要があります」。さらに「治療に入る前に、副作用について十分知識を持つことが大切です。医療者側も丁寧に説明しています」と湯浅さんは強調する(表3)。

イクスタンジ=一般名エンザルタミド ザイティガ=一般名アビラテロン

表3 ホルモン療法の主な治療薬と副作用

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