2021年7月
「腎細胞がんは、もともと免疫と深い関わりがあるがんで、免疫チェックポイント阻害薬を組み合わせる複合免疫療法は理にかなった治療と言えます」と語る植村さん 進行腎細胞がんの1次治療は、がん免疫療法薬と分子標的のチロシンキナーゼ阻害薬を併用する「複合免疫療法」が中心となっている。現在は3種類の併用療法が行われているが、最近になって、2種類の複合免疫療法の第Ⅲ相試験結果が報告された。新たな複合免疫療法であ...
2021年6月
「30年間の沈黙を破って、今、食道がんの薬物療法は歴史的とも言える進化の途上にあります」と語る加藤健さん 長らく難治とされてきた食道がんに、ようやく光が射してきた。免疫チェックポイント阻害薬が第Ⅲ相試験を突破して、30年ぶりに薬物療法が進化を遂げたのだ。2次治療に承認されて標準治療となったオプジーボ、キイトルーダに加えて、今、1次治療にも大きな進化が起ころうとしている。食道がん治療に訪れている大変...
2021年6月
「自己検診になる皮膚がんは、初めは痛みもかゆみもないが、見ていて不安に思うのなら専門医に診てもらったほうがいい」と語る吉野公二さん 皮膚がんは、当初はほくろや皮膚炎などと見間違うことも多く、市販の薬で処置したりほっておく人も多い。皮膚がんのなかでも悪性度が高いメラノーマ(悪性黒色腫)は、早期であれば手術だけで完治するが、病気の進行が早いため、診断を受けたときにはすでに転移を起こしていることもある。...
2021年5月
「治療中、食欲がない、お腹がはって苦しいなどの気になる症状を、遠慮しないで医師や看護師に伝えてください。症状などから病状を類推し評価して、治療継続なのかそれとも治療を切りかえていくのか、適切なタイミングで判断することが大事なのです」と語る室 圭さん 20年来、変化の見られなかった胃がんの薬物療法(化学療法)が、ここ数年、進化を遂げている。1次治療から3次治療まで標準治療が確立し、新薬が数種類登場。...
2021年5月
「大腸がんの適切な薬物療法のためには、RAS、BRAF、MSIの遺伝子検査を受ける必要があります。患者さんは『3つの遺伝子検査の結果はどうでしたか?』と聞いてみるのもいいかもしれません」と語る塩澤 学さん 大腸がんの治療が変革の時期を迎えている。手術に関しては、ロボット手術の登場で排尿障害や性機能障害などの後遺症を比較的防げるようになった。まだ広く普及したとは言えないが、いずれはロボット手術が中心...
2021年5月
「血液がんの治療は、薬剤を適正に選択することが重要です」と語る矢野真吾さん 血液がんはここ20年来、効果的な薬が相次いで承認されてきた。グリベックなどの分子標的薬がその代表で、これらの分子標的薬の登場により予後が著しく改善されてきた。血液がんは遺伝子レベルでの解明が進んでいる分野の1つで、現在も分子標的薬を中心とした新薬のラッシュが続いている。さらに根治を目指せるCAR-T細胞療法という新しい免疫...
2021年2月
「ゼジューラは、遺伝子検査をしなくても1次治療で使えることが患者さんにとって大きな利点です」と語る平嶋泰之さん 分子標的薬のPARP阻害薬はここ数年の卵巣がんにおけるトピックの1つだ。日本では、2018年1月、リムパーザが初めて「プラチナ製剤感受性の再発卵巣がんにおける維持療法」で承認された。その後2019年6月「BRCA遺伝子変異陽性卵巣がんの初回化学療法後の維持療法」で、さらに2020年12月...
2021年2月
「免疫チェックポイント阻害薬のテセントリクと分子標的薬アバスチンの併用療法が、今後主流になって行くと思います」と語る木下晃吉さん 肝細胞がんは、肝炎ウイルス感染による慢性肝炎や肝硬変、最近では生活習慣病などに起因する脂肪肝が原因となる予後不良のがんである。そのような肝細胞がんで、切除不能・進行肝細胞がんに対する化学療法が、近年めざましく進化している。分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬の併用療法...
2020年12月
「多発性骨髄腫は、昔は長くて5年ほどの生存率でしたが、完治の可能性も見えてきました」と語る鈴木憲史さん 新しい治療薬サークリサが、再発または難治性の多発性骨髄腫に対して承認され、2020年8月販売開始になった。近年使える薬剤が増え、治療の可能性を拡げている多発性骨髄腫だが、7つの機能を持つという強力な新薬登場にさらに大きな希望が見えてきた。サークリサの国際共同第Ⅲ相試験に参加した日本赤十字社医療セ...
2020年10月
「ツカチニブという新薬が承認されました。海外のことですが、患者さんには知っておいてもらいたい情報です」と語る原 文堅さん ハーセプチンの登場で、HER2陽性乳がんの薬物療法が大きく前進したが、その後も次々と抗HER2薬は開発されている。最近ではエンハーツが承認されたばかりだ。今回、HER2陽性切除不能・再発転移乳がんにとって注目したいのが、脳転移の患者にも効果が高い可能性のあるツカチニブという経口...