2020年10月
「ツカチニブという新薬が承認されました。海外のことですが、患者さんには知っておいてもらいたい情報です」と語る原 文堅さん ハーセプチンの登場で、HER2陽性乳がんの薬物療法が大きく前進したが、その後も次々と抗HER2薬は開発されている。最近ではエンハーツが承認されたばかりだ。今回、HER2陽性切除不能・再発転移乳がんにとって注目したいのが、脳転移の患者にも効果が高い可能性のあるツカチニブという経口...
2020年8月
「胃がんは、まだ大腸がんのようにいろいろな薬剤が使えるという状況ではありませんが、進行再発胃がんでの臨床試験結果を参考に、新たな治療法を模索していくことになるでしょう」と述べる東風 貢さん 進行胃がんではあるが、手術可能なのがステージ(病期)Ⅲの胃がんだ。ただし、目に見えない微小転移による再発の可能性もあるため、術後補助化学療法は必須だ。その治療において、従来のS-1単独と新規のS-1+ドセタキセ...
2020年3月
「抗がん薬治療のために病院に行く日だけをカレンダーに書くなんてやめましょう。いかに自分の生活に治療を合わせていくかを考えて過ごしてほしい」と語る鴨川郁子さん 大腸がん手術、術後の抗がん薬治療には、合併症や副作用が伴う。とくに抗がん薬治療は通院で行い、期間も数カ月に及ぶため、副作用との付き合いも長く続くことになる。日々患者に寄り添うがん看護専門看護師の視点から、術後の合併症と抗がん薬治療の副作用にど...
2020年2月
「1、2年くらいで効果が薄れてしまう分子標的薬の使う順番を検討することは今後の課題です」と語る久保田 馨さん がんの中でも予後が悪い肺がん。その中で驚くほど生存率を伸ばしてきたのが、手術不能または再発した、つまり進行した非小細胞肺がんの治療だ。分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬などの新薬が相次いで登場し、遺伝子解析により〝効く人に効く〟薬剤を選択できる個別化医療が進化しつつある。さらに、治療薬...
2019年6月
「免疫チェックポイント阻害薬が分子標的薬と決定的に違うことは、薬物療法だけで完治の可能性がある人が出てきた、ということです」と語る木村剛さん 転移性腎がん・切除不能腎がんへの免疫チェックポイント阻害薬オプジーボ(一般名ニボルマブ)承認から3年。臨床試験による経過追跡は4年を超え、動向が見えてきた。2次治療でのオプジーボ単独に加え、1次治療での免疫チェックポイント阻害薬同士の併用療法、さらには免疫チ...
2019年6月
「手術後は、残っている腎機能を低下させないことが大切。もちろん禁煙も」と語る榎本裕さん 組織的には膀胱がんと同じ尿路上皮のがんだが、悪性度は膀胱がんより高く、全体としては罹患者が少しずつ増えてきている腎盂・尿管がん。基本となる治療は手術という流れはここ10年で大きく変化はないが、検査の精度や手術の方法などは著しく進歩した。また、免疫チェックポイント阻害薬キイトルーダがセカンドライン(2次治療)の標...
2019年4月
「ブドウ糖に近い成分を用いたFDG-PETは、ブドウ糖を非常に消費する脳の検査には適切でないため、アミノ酸の1つメチオニンを用いたPET検査が早く保険適用になって欲しい」と語る西川さん 人口10万人あたり約19人がなると言われ、しかも130種以上と種類が多いため、それぞれの罹患数が少なく、エビデンス(科学的根拠)が蓄積されにくい原発性脳腫瘍。そのため標準化が遅れ、日本で初めて「脳腫瘍診療ガイドライ...
2019年3月
「ステージⅡ、Ⅲの直腸がんにはまず化学放射線療法を行い、反応のよくない患者さんには術後転移を防ぐ抗がん薬の開発を世界は目指しています」と話す貞廣さん 大腸がんは、結腸がんと直腸がんに分かれ、治療方針や治療の難易度も異なりある意味別のがんと言っても過言ではない。骨盤内の狭い領域で治療に当たらなければならない直腸がんは、がんの局所制御と同時に、周囲の神経などを傷つけないようにして機能を温存する必要があ...
2019年2月
「切除可能例については、術前化学療法がこれからの標準治療になっていくでしょう。さらにオプジーボの承認は一次治療が効きにくい肉腫型や二相型の患者さんにとっても朗報だと思います」と語る木島貴志さん 希少がんである悪性胸膜中皮腫は、保険適用で使用可能な抗がん薬が少なく、予後不良の疾患である。外科的切除の適応となる症例は少なく、また手術自体の意義についても一定した見解はなく賛否両論であるが、兵庫医科大学で...
2018年12月
「免疫チェックポイント阻害薬の副作用は、チーム医療で取り組み、早めの対処が重要です」と語る日本医科大学付属病院がん診療センター長の久保田馨さん 本庶佑・京都大学特別教授のノーベル医学賞受賞により、一般にも知られるようになった免疫チェックポイント阻害薬オプジーボ。この薬剤は、がん細胞を直接攻撃するこれまでの細胞障害性抗がん薬や分子標的薬とは異なる作用機序でがんと闘う。効果が長期間持続し、副作用の頻度...