大腸がんの基礎知識 大腸がんってどんな病気? 大腸がんは早期発見すれば9割が治る!
がん〟といえます」と話す
石黒めぐみさん
国立がん研究センターが今年4月に発表した2015年のがん罹患数の推計で、これまで3位だった大腸がんが、胃がん、肺がんを抜いてトップになった。
大腸がんはどんな病気なのか。大腸がんの基本的なことから治療の進め方まで専門医に聞いた。
Q1 大腸がんは増えている?
国立がん研究センターの推計によると、2015年の大腸がんの罹患数は13万5,800人で、がんの中で最も多く、すべてのがん罹患の14%を占めています。死亡数では、肺がんに次ぐ2位(5万600人)です。患者数は過去40年間で5~6倍に増えています。
大腸がんが増えている理由は、高齢者が増えたことや、内視鏡検査の普及で発見が増えたことがあげられます。食事の欧米化の影響も指摘されています。
Q2 発生しやすい部位は?
大腸は右下腹部から時計回りにお腹の一番外側を回って左下腹部へ、そして肛門に至る全長約1.5~2.0mの臓器です。部位別にみると、約7割が直腸やS状結腸など肛門に近いところに発生しています。高齢者では結腸がんの占める割合が高く、とくに年輩の女性のがんの中で結腸がんは胃がんに次いで2番目に多いがんです。
Q3 自覚症状はある?
早期がんではまず自覚症状はありません。進行したときの症状は、血便、便通異常、腹痛の3つが典型的です。通常、大量に出血することはなく、便に付くとか、便の最後に濁った赤黒い血がドロッと出るというケースが多いです。痔と間違いやすいのですが、痔の出血は明るい赤色をしています。便通の異常は、便が細くなる、下痢と便秘を繰り返す、などが特徴的なパターンです。さらに進むと、腸閉塞による腹痛や嘔吐も起こります。
なお、肛門から遠い体の右側の大腸(盲腸、上行結腸、横行結腸)では症状が現れにくい傾向があるので注意が必要です。
Q4 検査はどう行われる?
症状がない場合の発見は、便潜血検査がきっかけになることが多いです。一部企業では健康診断に入れていることもありますが、そうでない場合は自治体が行っている大腸がん検診を毎年受けることをお勧めします。陽性と判断される人は全体の5~7%で、そのうち1~2%で大腸がんが見つかります。1,000人受診したら大腸がんが1~2人くらいという計算です。
陽性の場合は、精密検査に移ります。肛門から内視鏡を挿入する大腸内視鏡検査がスタンダードですが、近年、3D-CTや大腸カプセル内視鏡といった新しい検査法も保険適用になりました。大腸内視鏡検査に抵抗感がある人の精密検査として良いオプションだと思います。ただし、異常が見つかったら大腸内視鏡検査が必要です。大腸がんの診断が確定した後はCTや腫瘍マーカー検査で、がんの広がりを調べます。
Q5 どのように進行する?
大腸がんの進行度は0~Ⅳの5段階の「ステージ」に分類されます。粘膜の表面に発生したがんは、5層に分かれた腸の壁の奥深くに徐々に食い込んでいきます。
粘膜内、または粘膜下層に留まっているものを早期がん、固有筋層より深いところまで達しているものを進行がんと呼びます。ステージⅣは他の臓器への転移や腹膜播種がある状態です。
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