免疫チェックポイント阻害薬は最後に使うべきか?
EGFR遺伝子変異陽性だった場合に使える分子標的薬として、*タグリッソの次に出てくる薬はいつ頃ですか?免疫チェックポイント阻害薬は、体力がなければ使うことは難しいのでしょうか。最後の手段として考えたほうがよいですか?
(女性 東京都)
A EGFR遺伝子変異陽性なら、まずはEGFR-TKIを勧める
センター長の久保田 馨さん
現在開発中のEGFRチロシンキナーゼ阻害薬(EGFR-TKI)は数種類あり、臨床試験が行われているところです。ただし、実際に臨床の現場で使えるようになるまでにはもう少し時間を要し、数年先となりそうです。
また免疫チェックポイント阻害薬ですが、それ自体ががん細胞を攻撃して死滅させるものではありません。免疫担当細胞のブレーキを解除し、本来備わっている力を発揮させることで、がん細胞を攻撃する薬になります。
ご質問の「体力がなければ使うことは難しいか」という点ですが、体力がないと、体の免疫担当細胞の働きも低下しているため、免疫チェックポイント阻害薬の効果もあまり期待できないとも考えられます。ただ、今のところ、体力がない人の効果についてははっきりとわかっていません。
「最後の手段として考えたほうがよいか」というご質問ですが、EGFR遺伝子変異陽性の場合には、現時点では免疫チェックポイント阻害薬の使用は、最終手段として考えたほうがよいでしょう。
何故ならば、免疫チェックポイント阻害薬とEGFR-TKIとの併用の臨床試験では、高頻度に間質性肺炎が出現しました。免疫チェックポイント阻害薬は抗体製剤なので、使用すると一定期間、体に残存します。したがって、もし免疫チェックポイント阻害薬使用後に、*イレッサやタグリッソなどのEGFR-TKIを使用した場合、かなりの確率で間質性肺炎といった副作用が出る可能性があるためです。
EGFR遺伝子変異陽性であるなら、まずはEGFR-TKI、次の手段としてはプラチナ製剤併用の化学療法をお勧めします。
*タグリッソ=一般名オシメルチニブ *イレッサ=一般名ゲフィチニブ