20年で治療成績が飛躍的に向上した血液がんの基本の基本 知っておきたい!血液がんの基礎知識
白血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫を3大血液がんと呼んでいます。治療法や検査法は多岐にわたっており、血液がんを理解するのは難しい。ここでは、血液がんの基本の基本について、分かりやすく解説します。
Q1 血液がんとはどんな病気?
私たちの血液は骨の中の骨髄にある造血細胞からつくられています。その造血細胞が分化して赤血球や白血球、血小板といった血液細胞をつくりだしているのです。
血液がんは、そうした血液細胞が分化する過程でがん化することによって起こります。血液がんの種類は多様そのものです。
たとえば血液がんでもっともよく知られている白血病は、白血球がつくられる過程で、また悪性リンパ腫は白血球の中のリンパ球がつくられる過程で起こります。
かつては、これら血液がんは予後が悪く、不治の病とされていました。しかしこの20年ほどで、薬物治療を中心に治療技術が画期的に進歩し、生存率も急激に向上しています。
Q2 血液がんと他のがんとの違いは?
皮膚や臓器にできるがんは、固形がんと呼ばれ、組織に癒着して腫瘍と呼ばれる塊をつくります。一方、白血病をはじめとする血液がんは基本的には組織に接することなく、1個1個の細胞が同時多発的に増殖をくり返します。そのため、固形がんに見られる病期も存在しません。もっとも、悪性リンパ腫や多発性骨髄腫は白血病と固形がんの中間的な存在で、リンパ腺や骨髄にがん細胞が集まり塊をつくり、さらに悪性リンパ腫は全身への病巣の広がりによってⅠ~Ⅳ期の病期に分かれます。
Q3 血液がんにはどんな種類があるの?
血液がんのなかで、とくに患者さんが多いのが白血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫で、3大血液がんと呼ばれます。白血病は、患者さんの多くを占める骨髄性白血病の他にリンパ球ががん化するリンパ性白血病があり、それぞれ病気の現れ方によって急性と慢性に分かれます。白血病では圧倒的に多いのが白血球のがん化で、血液が膿のように白っぽく変わります。
一方、悪性リンパ腫は白血球の中のリンパ球ががん化する病気で、がんになったリンパ球細胞は、全身のリンパ腺で病巣をつくります。また、多発性骨髄腫は骨髄の中で抗体をつくる形質細胞ががん化する病気です。
その他に、前白血病状態ともよばれる骨髄異形成症候群、などがあります。
Q4 なぜ血液がんが起こるの?
がんは、基本的には遺伝子変異が原因で生じる病気で、血液がんもその例外ではありません。
ただ、固形がんが何段階もの変異プロセスを経て発症に至るのに対して、血液がんの遺伝子変異はずっとシンプルです。
高齢者とともに小児にも発病することが多いのもそのためでしょう。
高齢者に多いのは、ずっと分裂をくり返し続けてきた造血幹細胞が劣化することが原因と考えられます。外部要因としては、ストレスや放射線、喫煙の影響などが考えられますが、正確なところはわかっていません。
Q5 血液がんになるとどのような症状が現われるの?
白血病になると、がん化した機能的に未熟な血液細胞が多くを占めるようになり、正常な赤血球、白血球、血小板などの血液細胞が減少します。そのために、貧血や出血、倦怠感に悩まされるようになり、免疫力も低下します。また、がん化した造血細胞からは、白血球がつくられることが多く、そのために未熟な白血球が異常に増加します。実際、血液検査で白血球が過剰なことから白血病が見つかることも多いものです。
また、悪性リンパ腫はリンパ節にしこりができ、人によっては腹部のリンパ節の腫れから痛みが起こることもあります。多発性骨髄腫になると、異常タンパクが放出されて骨が溶け出すため、骨に激しい痛みが起こることが少なくありません。
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