Ⅱ期の悪性の舌がん。切除せずに治せないか?

回答者:藤内 祝
横浜市立大学大学院 医学研究科顎顔面口腔機能制御学教授
発行:2013年1月
更新:2019年8月

  

Ⅱ期の悪性の舌がんと診断されました。私の場合、がんの大きさを考えると、手術が一番賢明な治療選択であるといわれております。完治できることが一番の願いですが、何とか切らずに治す方法はないのでしょうか?

(高知県 女性 60歳)

A 小線源治療がある

口腔がんで、ステージⅡというと腫瘍の大きさが4cm未満です。ご相談者は切りたくはないということなので、舌がんのⅠ、Ⅱ期といった腫瘍が小さい場合は、小線源組織内照射が一番良いと思います。この治療は、舌の深くまで浸潤した腫瘍には適していませんが、浅い早期がんでしたら、適しています。

東京医科歯科大学の放射線科では、放射線を放出するセシウムなどの針を差し込む方法と、まずチューブを入れ、そのなかに放射線源を通して、腫瘍部分に放射線を照射する方法があります。口腔がんの小線源治療は、日本でも数カ所の施設でしか行っておりません。

小線源治療では、放射性物質そのものを腫瘍に差し込みます。治療のやり方は、がんの厚さが8mm以下のときは、イリジウム針を使用し、8mmより厚い場合は、セシウム針を使用します。針は腫瘍に直接差し込みます。

放射性金粒子といって、小さな円柱型の粒でできた放射性物質を使うこともあり、この放射線源は異物感がないので、治療後も患部にずっといれたままにします。治療期間中、患者さんは遮閉した特殊な部屋で生活していただきます。

舌がんの小線源治療は現在、保険適用となります。費用は、通常3割を負担します。

副作用としては、舌でも歯茎に近いということで、放射線による骨髄炎を起すことが時々あります。口が汚い人、虫歯を放っておいている人がなりやすいです。

口腔がんでは、患者さんには、ぜひ口を清潔にして治療に臨んでいただきたいものです。

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