子宮内膜症や子宮筋腫が、がんになることはあるか

回答者:上坊 敏子
社会保険相模野病院 婦人科腫瘍センター長
発行:2009年10月
更新:2013年12月

  

子宮腺筋症などの子宮内膜症や子宮筋腫ががん化することはあるのでしょうか。あるとしたら、どれくらいの割合で起こるのでしょうか。ダグラス窩にできた子宮内膜症のがんのリスクについても教えてください。

(岡山県 女性 36歳)

A チョコレート嚢胞以外の悪性化は通常、心配する必要はない

子宮内膜症とは、子宮内腔以外の場所に子宮内膜に類似した組織が増殖する病気です。できる場所は「子宮内腔以外の場所」ですが、圧倒的に多いのは「卵巣内にできるチョコレート嚢胞」「子宮の筋肉層にできる子宮腺筋症」「ダグラス窩を含む骨盤の腹膜にできる骨盤子宮内膜症」の3つです。

このうちチョコレート嚢胞に関して、悪性化(がん化)する割合は0.72パーセントであるという報告があります。この0.72パーセントという割合が高いか低いかは考え方次第です。ただ、子宮内膜症の中では、悪性化する割合が最も高いといえます。

ダグラス窩にできた子宮内膜症ががんになることもないわけではありません。ただし、文献になるほど珍しいことですから、一般的なリスクとしては問題にする必要はないでしょう。子宮腺筋症が悪性化することもゼロではありませんが、極めて珍しいのが現状です。

子宮筋腫は子宮の筋肉から発生した良性の腫瘍です。子宮筋腫と子宮肉腫(子宮肉腫はがんの一種です)を判別するのは難しく、子宮筋腫と思って手術をしたら子宮肉腫だったということも珍しくはありません。反対に、子宮肉腫だと思って手術をしたら、子宮筋腫だったということもあります。ただ、子宮筋腫が子宮肉腫に変化することは一般的にはないだろうといわれています。

まとめると、子宮内膜症と子宮筋腫のがん化に関しては、チョコレート嚢胞以外は心配する必要はほとんどないでしょう。

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