4センチの腎がん。部分切除手術は可能か

回答者:赤倉 功一郎
東京厚生年金病院 泌尿器科部長
発行:2009年3月
更新:2013年12月

  

会社の健康診断がきっかけで、右の腎臓にがんが見つかりました。腫瘍の大きさは4センチほどで、腎臓の上のほうにあるようです。転移はないとのことです。担当医からは、腎臓摘出の手術を提案されています。できれば、腎臓の腫瘍だけを切除する手術を選びたいと思います。私のような場合、全摘ではなく、部分切除という手術は可能でしょうか。部分切除を選んだ場合、全摘手術よりも再発率などのリスクは高まると考えたほうがよいのでしょうか。なお、これまで、いたって健康で、慢性疾患などはありません。

(愛知県 男性 41歳)

A 部分切除手術は腫瘍の大きさなど適応がある

腫瘍の大きさが4センチほどとのことですが、最大径が4センチ以下ならステージ(病期)はT1aで、4センチを超えて7センチ以下ならT1bに分類されます。ステージによって、治療法や再発リスクは変わってきますから腫瘍の大きさを確認することは重要です。

部分切除の適応は、(1)「部分切除をしなさい」という絶対的適応 (2)「なるべく部分切除をしなさい」という相対的適応 (3)「どちらでもよいが、可能ならやってもよい」という選択的適応 ―とがあります。

両側に腎がんがある場合や、腎臓が1個だけのとき、腎臓は2個あるがその働きは単腎状態で、機能的単腎と呼ばれるときなら、(1)の絶対的適応となります。糖尿病性腎症とか腎硬化症などで腎臓機能が悪い場合は(2)の相対的適応になります。(1)(2)以外なら(3)の選択的適応です。選択的適応では、一般にがんの大きさが4センチ以下の場合に部分切除が行われます。

ご相談者は、健康で慢性疾患などはないとのことなので、(3)の選択的適応となります。また、この部分切除は、腎がんが腎臓の外側に突出しているときには手術が比較的容易です。しかし、腎動脈や腎静脈の近くで、腎臓の中心部に接している場合などには部分切除は難しくなります。ですから、部分切除の適応には腎がんのある場所も重要なポイントになります。

部分切除は、全摘に比べると難しい手術ですが、かなり普及しています。絶対的適応の場合は、どこでも受けられると思います。ただ、選択的適応に関しては、患者さんの希望がよほど強くないと行わないという施設もあり、そのスタンスはさまざまです。なお、部分切除後の再発リスクは、4センチ以下なら全摘の場合とほぼ同じです。あまり気になさらないようにしてください。4センチを超えてT1bになると、やはり再発リスクは高まります。再発リスクは、ステージによって変わってきます。

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