急性骨髄性白血病の寛解期。ミニ移植の効果と可能性は?
68歳の父が急性骨髄性白血病と診断され、現在は寛解期です。根治のためには骨髄移植が最もよい手段らしいのですが、高齢ということもあって、移植は不可能と主治医に言われました。場合によっては、ミニ移植という方法もあると聞いたのですが、これはどの程度効果が期待できるものなのでしょうか。また、父にできる可能性はあるでしょうか。
(群馬県 女性 37歳)
A 再発しやすい白血病には通常の移植を。年齢を考えるとミニ移植も難しい
通常の骨髄移植では、ドナー(骨髄の提供者)の骨髄液を患者さんに移植する前に、患者さんに大量の抗がん剤を投与し、放射線を照射して、がん細胞を殺します。これを「前処置」と呼んでいます。
「ミニ移植」は、この前処置を通常の移植に比べて弱くしたものです。つまり、抗がん剤の投与や放射線の照射をそれほど強くしないで骨髄を移植することをミニ移植と呼んでいます。
現在のところ、急性骨髄性白血病に対して、通常の骨髄移植とミニ移植を行った場合の効果を比較したデータは存在していません。しかし、わかっていることもあります。
ミニ移植は前処置をあまりしないので、抗がん剤や放射線の副作用は、通常の骨髄移植の場合に比べると軽くなるというメリットがあります。
しかしその反面、ミニ移植は前処置が弱いため、がん細胞が生き残っている可能性があります。このため、白血病の種類などにもよりますが、ミニ移植では再発する可能性が通常の骨髄移植に比べ高くなると考えられます。そのため、再発しやすい白血病の場合は、通常の骨髄移植を一般的には行います。
骨髄移植を行う場合は、患者さんやドナーの年齢も考慮しなくてはいけません。
通常の骨髄移植の場合は、患者さんは一般的に55歳以下が対象になります。ミニ移植の場合は通常、65歳以下が対象です。ですからご相談者の場合、年齢的にはミニ移植でもリスクが高まるのが現状です。
仮にミニ移植を行うとなると、HLA(白血球の型)が合うドナーを見つけないといけません。現実的には、ご兄弟にドナーになっていただく必要があります。弟さんや妹さんがいたとしても、60歳以上である可能性が高いでしょう。仮にHLAが一致しても、そうした高齢の方がドナーになることは、体力面を考えるとリスクが高くなります。
この方の場合は、年齢のことなどを考慮すると、ミニ移植であっても実施することは難しいように思います。ただ可能性がまったくないわけではないので、主治医とよく相談してみて下さい。