急性リンパ性白血病で移植を受ける予定。副作用が心配

回答者:牧本 敦
国立がん研究センター中央病院 小児科医長
発行:2008年9月
更新:2013年12月

  

7歳の次男のことでご相談します。次男は急性リンパ性白血病と診断され、抗がん剤治療を受けていました。しかし1カ月経っても、寛解に至らないため、今後は、抗がん剤を換えて、第1寛解期に入ったタイミングで移植療法を行うと、主治医に言われています。HLA(白血球の型)は、中学3年の長女(14歳)とは不一致ですが、大学1年の長男(18歳)とは一致しました。長男をドナー(骨髄提供者)とした移植を勧められています。調べてみると、移植によって、その後の成長が止まったり、性腺機能が失われたりすることがあるとあり、心配です。移植によって、このような副作用はどれぐらいの割合で起こるのでしょうか。また、移植ではなく、抗がん剤などで治療することはできませんか。

(長崎県 女性 42歳)

A 副作用はあるが、兄弟ドナーがいるなら受けるのがよい

標準的な寛解導入療法を行って、寛解に至らずにいるのであれば、一般的に予後はかなり思わしくありません。抗がん剤を変更して寛解に入ったとしても、移植療法を行わないと、再発率は60パーセント以上あると考えられます。

しかし、寛解に入った後、移植療法を行うことで、再発率をかなり下げることが期待できます。そのため、お子さんのようなケースでは、移植療法が勧められます。

7歳の急性リンパ性白血病のお子さんに対し移植療法を行う場合、通常、移植の前に全身への放射線照射を行います。この放射線照射によって、性腺機能を含むホルモンのバランスが崩れてしまいます。そのため、第2次性徴があまり起こらずに、将来、子供を作れなくなったりすることがあります。また、成長ホルモンや骨髄軟骨(手足の軟骨)にもダメージが加わるため、身長が伸びにくくなることもあります。これらの副作用は、個人による程度の差はありますが、ほぼ必ず起こると考えたほうが良いでしょう。

幸いお子さんには、HLAが一致する18歳のお兄さんがいます(現在は、原則として18歳以上の人でないと、ドナーにはなれません)。血縁ドナーから受ける同種骨髄移植の安全性はとても高く、重篤な合併症の危険性はかなり低い実績があります。残念ながら何らかの副作用は起こると思いますが、白血病の再発率を少なくできるメリットを考えると、第1寛解期に移植療法を受けることをおすすめします。

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