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森川那智子のゆるるんヨガ de ほっ!

ゆるゆるセルフケア!(6) つりばりのポーズ

イラスト●矢田勝美
発行:2008年4月
更新:2013年8月

  

森川那智子(もりかわ なちこ)
こころとからだクリニカセンター所長。カウンセラー・ヨガ指導家。心療内科と提携し、カウンセリングを中心に、ヨガ、リラクセーション、瞑想を取り入れた療法で、心と体のサポートに取り組む。
『こころがラクになる本』(大和書房)
『リラックスヨガ』(成美堂出版)など
著書多数こころとからだクリニカセンター http://www.kokokara.co.jp/

わたしのからだ、傾いている?

(1)両脚を大きく開いて立つ。床と足幅が正三角形になるよう開く。頭はふわっと持ち上がっているとイメージ。両腕は腿に。息を吐きながら肛門を閉じ、腹部を軽く引き締める

わたしががん患者さんのためのヨガを強く意識するようになったのは、同僚のがん体験がきっかけでした。

「友だちで乳がんになる人が続き、自分でも気になって、さわって調べていたら、なんと、はっきりそれとわかるしこりがあるんです。まさか、まさか、でも一応念のためと思って病院へ行ったら……乳がんでした。ステージ3、それも4に近い3……」

ずっと一緒にヨガセラピーの仕事をしてきた栗木登志子がこう切り出したのです。

しかも、乳房温存療法も可能といわれたけれど、今後のリスクを熟慮して「全摘にします」とキッパリ。

え? 乳がん? 全摘? あのDカップの豊かなバストを……。

「がん保険に入っているとしたら、これで少しは元が取れるわ」

(2)ゆっくり息を吸いながら、両腕をゆっくり水平に。肩を沈め、首を伸ばし、左手の指先は左へ、右手の指先は右へできるかぎりじわあっと伸ばすよう意識

わたしはトンチンカンなことを口走っていました。要するに現実感がないのでした。当人はもっともっと現実感がなかったことでしょう。入院、手術、退院、通院での抗がん剤治療。次々とスケジュールが決まり、ことが運ばれていきます。

復職した彼女は、外見上はとくに変わったところはありません。胸も医療用パットでほどよくととのっています。

ヨガ指導もセラピーも、これまでの基本に忠実に、つまり、インストラクターは完璧である必要はない、不自由なところは不自由なりに、自分の身体をていねい に注意深く扱いながらポーズを行っていく。その体験を人と分かち合うこと。今の自分には難しくても、必要ならばどのポーズも口頭で説明しながら、クライア ントやメンバーにやってもらう。

半年ほどたったときでしょうか。

「鏡を見ると左右の肩の高さが違っているんですよ。でも鏡を見て、姿勢を直すと、自分の身体感覚としては違和感があるんです」

(3)息を吐きながら、上体を右にゆっくり倒し、両腕が垂直になるように。そのままふつうに呼吸して10カウント。順序を逆にたどって(1)に戻し、反対方向に同様に行う

さらに半年後、

「今の自分は、こういう立ち方が自然なんだな」と彼女。

今回紹介する「つりばりのポーズ」などは、身体の偏りに気づかされるポーズです。

無理はしない。でも投げ出さない。自分を信じて、どこまでがOKでどこからが無理なのか吟味していく。そういうプロセスをとおして、自分が日々更新されているのを実感していく作業。あれから9年が経過し、栗木は振り返ります。

「手 術がすんで、抗がん剤治療も終って、はいこれで医学的治療は終了って、患者はぽんと放り出された感じがするんです。気持ちが全然追いついていかない。そこ を補ってくれたのがヨガでしたね。失ったものは戻らないけれど、機能として全体として『これでいい』と思えるようになった」

「これでいい」と思える瞬間を持つ、それがたぶんこころにもからだにも滋養なんですね。

つりばりのポーズ

(4)足幅を腰幅に狭め、呼吸を整えくつろぐ。以上を2セット

できれば、鏡の前に立ち、左右の肩や腰の高さやねじれに、留意しながら行いましょう。不安定なら、壁にかかと、腰、背をつけて行うのもOK。

(1)両脚を大きく開いて立ちます。床面と2本の脚でつくられる三角形が正三角形になるくらい。頭は軽く、肩から離れて頭のてっぺんの方向にふわっと持ち上がっているとイメージ。そうすると、脊柱がすうっと自然と伸びてきます。両腕は腿に伸ばす。息を吐きながら、肛門を閉じ、お腹を軽く引き締める。

(2) 静かにゆっくり息を吸いながら、両腕を静かにゆっくりと上げ、水平になるようにします。このとき肩がいかり、首が埋まったようになりやすいので、肩を沈 め、首を伸ばし、左手の指先は左へ、右手の指先は右へできるかぎりじわあっと伸ばすよう意識。左手指の先端から右手指の先端までの距離をできるかぎり延長 させるつもりで。

(3)ゆっくり息を吐きながら、上体を右にゆっくりなめらかに倒し、両腕が垂直になるようにします。左手の指先は上へ上へとひっぱられ、右手指先は重力にしたがって下へ下へとさがっていく。そのままふつうに呼吸して10カウント。ゆっくり順序を逆にたどって(1)に戻し、今度は反対方向に同様に行う。

(4)足幅を腰幅に狭めて、呼吸を整えくつろぐ。以上を(2)セット。

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