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森川那智子のゆるるんヨガ de ほっ!

ゆるゆるセルフケア!(17) バトハのポーズ

イラスト●星奈レイ
発行:2009年3月
更新:2013年8月

  

森川那智子(もりかわ なちこ)
こころとからだクリニカセンター所長。カウンセラー・ヨガ指導家。心療内科と提携し、カウンセリングを中心に、ヨガ、リラクセーション、瞑想を取り入れた療法で、心と体のサポートに取り組む。
『こころがラクになる本』(大和書房)
『リラックスヨガ』(成美堂出版)など
著書多数こころとからだクリニカセンター http://www.kokokara.co.jp/

目・耳・口を塞ぐ

バトハのポーズ準備 親指と人指し指で両耳の耳殻をつかみ、少し強めに親指で耳殻の外側を10回もみしだく。

プレッシャーが重なりストレスや疲労が蓄積してくると、本当は休息が必要なのにやらなくちゃいけないという気持ちが逆に強まったり、焦りや不安が高まったりするということがよくあります。

過度のストレスや疲労のせいで、集中力が低下しているのに「やるべきことをやってないのだから、そんなに疲れるはずはない」と思い込んでいて、適宜適切な休息を自分に与えようとしないのです。

Oさんの場合もそうでした。妻ががんがとわかったのが10カ月前のこと。たまたま自転車に乗って転倒し、肘の骨を折ったことがきっかけでした。この際だからということで4?5年ぶりに受けた健康診断で、肺がんが見つかったのです。Oさんには、中学2年の娘とまだ小学生の息子が2人います。

紹介された専門病院に検査入院することになりました。その結果を夫婦で聞くときも、妻よりも自分のほうがうろたえてしまい、医師の説明が頭に入ってこない状態だったそうです。

Oさんの妻は自分で自分の病気について調べ、医療関係の仕事をしている姉に相談し、愚痴るでもなく嘆くでもなく、目の前のやるべきことをさくさくとやっていきます。

①両肘を肩の高さまで上げ、親指で耳の穴をふさぎ、人指し指でまぶたを軽く押さえる。中指を鼻の両脇におき、薬指と小指で唇をはさむ。

「自分にできることは、入院中の妻にかわって子どもたちの世話をすること」そう割り切り朝は5時に起床。洗濯機を回し、朝食を作ってから出社です。夜の残業も一切断って、妻を見舞ってから食材などの買い物をして帰宅。夕飯を作り、子どもの宿題などを見てやるなどまめに動いていました。

そして、術後の抗がん剤の治療のクールも終わり、あとは6カ月後に再検診を受けるだけになりました。とりあえず元のような日常生活が戻ってきました。

でも……。

Oさんは、妻の支えになってやるどころか妻を失うかもしれないということにショックを受け、頭の中が真っ白になってしまい何も考えられませんでした。中2の娘のほうがよほどしっかりこの事態を受けとめていることに気づき愕然としたそうです。

家事を一手に引き受けているときのほうが、気持ちは楽だったようです。

② 自分の好きな座り方で座り、脊柱をのばし姿勢をととのえる。両肘を肩の高さまで上げ、親指で耳の穴をふさぐ。人指し指でまぶたを軽く押さえ中指を鼻の両脇におき、薬指と小指で唇をはさむ。ゆっくり5呼吸。

「いつのまにか仕事に逃げ込むかのように、仕事漬け会社漬けの毎日になっていました。

ヨ ガなんて、そんな余計なことをする時間はないと思っていました。でも、会社が法人契約しているトレーニングセンターに行って、ヨガをやって最後の完全弛緩 のポーズのとき、涙があふれてきて……。それまでも、自分がまいっていることはわかっているつもりでしたが、そのとき、はじめて感じたんです」とOさん。

今回紹介する「バドハ」とは感覚を制御するという意味です。

目の前にある作業を1つずつこなしていくのは、基本的には精神衛生上とても有効なことです。けれども紛らわしのためにやっているとつい過剰になります。

「バドハ」は、目・耳・口を閉じて、感覚を抑制することで落ち着きを取り戻し、集中を高めます。

親指でふさいだ耳の奥の「ぶーん」という微かな音に注意集中しながら行います。仰臥姿勢で行ってもOKです。

バトハのポーズ

③ 完全なくつろぎのポーズで休んでから、今度は完全なくつろぎのポーズのまま両膝をたて、同様に行う。

準備:両手の親指と人指し指を使って両耳の耳殻をつかみ、少し強めに親指で耳殻の外側をていねいにもみしだきます。これを10回。

① 正座でもあぐら座でも、自分の好きな座り方で座り(椅子に腰掛けた姿勢でもOK)、脊柱をすーっとのばし姿勢をととのえます。

② 両肘を肩の高さまで上げ、親指で耳の穴をふさぎ、人指し指でまぶたを軽く押さえます。中指を鼻の両脇におき、薬指と小指で唇をはさみます。

③ ゆっくりていねいに5呼吸をします。この過程で中指の位置を微妙に変えることで、鼻孔を流れる息を調整します。つまり、軽く押さえることで保息したり、息の流れをゆっくりさせたり、鼻の通りがよくないときは両脇に広げます。

④ 完全なくつろぎのポーズで休みます。

⑤ 今度は、完全なくつろぎのポーズのまま両膝をたて同様に行います。仰臥姿勢でのバドハは安静効果がさらに高まります。

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