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知って得するさまざまな制度(3) 傷病手当金

文:山田由里子 社会保険労務士
発行:2005年4月
更新:2019年8月

  

病気やけがで会社を欠勤し、給料をもらえない――こんなときに役に立つ制度です。がんの再発の場合はもらえるケースともらえないケースがあります。

どんな制度か

傷病手当金とは、社会保険に加入している被保険者が病気やけがの療養のために欠勤し、給与の支払いがないときに生活保障として健康保険から賃金の1部が現金で支給される制度です。自営業者や無職の人が加入する国民健康保険にはない制度です。

■傷病手当金受給のポイント
傷病手当金受給のポイント
国民健康保険以外の公的医療保険加入者(本人のみ)

傷病手当金は、療養のために連続して3日以上欠勤したときに4日目から支給されます。最初の継続した3日間の休みを待期期間といいます。待期期間は労務不能で勤務を休んでさえいればよく、有給休暇扱いでも構いません。3日間の待期が完成すると4日目以降労務不能で欠勤して給料の支払いがないとき、傷病手当金が支給されます。

労務不能期間については、治療を受けている医療機関の医師に傷病手当金請求書の所定の欄に労務不能期間を記入してもらうことで証明をしてもらいます。自分だけの判断で欠勤し、医師の証明がもらえないときは、労務不能と認めてもらうことはできません。

どのくらい支給されるか

政府管掌健康保険の場合、労務不能の1日につき給与(標準報酬日額)の6割の傷病手当金が支給されます。大手企業に多い健康保険組合や公務員が加入している共済組合では、さらに上乗せの給付があり8割程度まで支給されることもあります。会社休業中に給与が支払われ、傷病手当金よりも給与が多い場合は受給できません。また、支払われた給与が傷病手当金より少ない場合はその差額が支給されます。

支給される期間

支給される期間は、最長でもらい始めから1年6カ月です。1年6カ月たつと、たとえその後労務不能の状態が続いていたとしても傷病手当金は期間満了として打ち切られてしまいます。この1年6カ月というのは、1年6カ月分がもらえるということではありません。1年6カ月の間ならば、働いても再発してまた休み始めたときは何度でも傷病手当金をもらうことができます。

しかし、同一の傷病の場合、支給期間は1年6カ月で終了するので、たとえば、傷病手当金を3カ月受給して復職し、1年3カ月後に再発したときは、すでに最初の支給から1年6カ月に到達しているため、傷病手当金をもらうことができないということになります。

ただし1年6カ月というのは、同一の傷病(因果関係のある傷病を含む)の場合ですから、たとえば、最初の胃がんとその後の前立腺がんに因果関係がないと診断された場合は、それぞれで1年6カ月を数えます。因果関係のない病気が同時に複数重なっている場合は、どちらか一方についてだけ傷病手当金の対象となります。

退職後の給付

傷病手当金をもらっている途中で退職することになったときは、それまでの被保険者期間が継続して1年以上あれば、退職後も引き続き傷病手当金を受給することができます。在職中は会社経由で傷病手当金の申請をしますが、退職後は自分で社会保険事務所や健保組合などへ手続きをします。退職時に被保険者期間が継続して1年以上ない場合でも、2カ月以上の被保険者期間があるときは、任意継続被保険者となれば退職後も傷病手当金をもらうことができます。

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