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医療保険・生命保険

文:菊池憲一 社会保険労務士
発行:2005年4月
更新:2019年8月

  

一般的にがんに罹患した患者は生命保険や医療保険に加入できないと思われていますが、本当に加入できないのでしょうか?

患者でも入れるがん保険は?

がんにかかった人が加入できる保険は数少ない。「がん保険」に詳しい株式会社サリー・ジョイス・ジャパン社長の林敬一郎さんによると、がんにかかったことがある人でも入れるがん保険はアメリカンファミリー生命保険会社の「優しいがん保険」だけである。ただし、このがん保険に加入できるのは、申し込みの時点で、がんの治療(経過観察のための定期的な検査は除く)を受けた最後の日から10年以上経過した人で、満50歳から80歳までの人に限られる。医師の診査は必要なく、入院給付金(1日1万円)は入院日数や入退院の回数に制限がない。また、在宅療養給付金(1退院につき15万円。がん治療で20日以上入院し、退院、在宅療養されたとき)も回数に制限なく、そのつど支払われるのが特長だ。毎月の保険料は契約時の年齢で決まる。例えば、このがん保険に満50歳で加入した場合、男女を問わず4128円、60歳なら5616円、70歳なら7296円となる。終身保険なので保険料の変更はなく、掛け捨て保険ではないため、解約した場合、保険料の払込年数に応じて解約返戻金が支払われる。

「ほとんどのがんが支払い対象ですが、子宮筋腫などの良性の腫瘍、大腸の粘膜内がん、上皮内がんなどの上皮内がん上皮内新生物は対象外です。また、保険料は普通のがん保険よりも少し割高です」と林さん。

「誰でも入れる」には要注意!

最近、コマーシャルで「誰でも入れる」タイプの医療保険が宣伝されている。がんを含めて病気になった人でも入れる「医療保険」だ。医師の診査は必要がなく、がんの再発を心配している人には朗報に思える。しかし、契約時にすでにかかっている病気で入院・手術・通院をした場合は給付金は支払われない。

「例えば、胃がんで手術をした人が転移・再発した場合、胃がんとの因果関係があれば給付されないなど、さまざまなしばりがあります。また、掛け捨て5年更新で、死亡保障はないため、5年間元気なら貯金のほうがよかったという場合もあります」(林さん)

■表1 がんを含む病気や障害があっても入れる主な終身保険
がんを含む病気や障害があっても入れる主な終身保険
新日本保険新聞社の資料を参考にまとめたものです。
詳しくは各保険会社に問い合わせください。

また、「誰でも入れる」タイプには、医療保険と同じく、がんになった人でも無診査で入れる「終身保険」(表1)がある。この保険は加入して2年以内に死亡した場合は死亡保障が出ないなどの制限がある。また、支払い期間が長期になれば、支払い総額が死亡保障額を上回るケースも出てくる。「死亡保障300万円の保険に入れたが、長生きして支払い総額は400万円になったというケースもあります。商品のパンフレットをよく読んで自分で電卓をたたいて計算することをお勧めします」(林さん)

月々の支払いを止める方法

生命保険加入中でがんになり、生活が困窮して保険料の支払いに困った場合には、保険料の支払いをストップして解約せずに契約を継続する「払済保険」に変更するという方法もある。

「そのときの解約返戻金をもとに元の生命保険の保険期間を変えないで、保険を続けます。当然、死亡保障は元の保険よりも小さくなりますが、解約するよりは得になります」と林さん。

がんになっても入れる保険もあるが、必ずしも得になるとは限らない。保険商品のパンフレットをよく読み、保険の専門家と相談して、賢い保険選びをして欲しい。

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