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知って得するさまざまな制度(5) 身体障害者手帳

文:山田由里子 社会保険労務士
発行:2005年4月
更新:2019年8月

  

喉頭部を摘出したため声を出す機能を失ったり、人工肛門を造ったりした場合に交付されます。税金が安くなったり、交通費の負担が軽くなります。

どんな制度か

■身体障害者手帳の障害の種類
身体障害者手帳の障害の種類

身体障害者手帳とは、身体障害者福祉法により身体に障害のある人に交付される手帳で、これがあると、日常生活のハンディキャップを軽減するためのさまざまな福祉サービスを受けることができます。本人の申請により障害程度の認定を行い、認められると交付されます。身体障害者手帳は、障害の部位や程度によって1~6級に分けられており、重い等級の人ほど手厚いサービスを受けられます。

受けられるサービスは

地域によって多少の違いはありますが、所得税や住民税など税金が安くなったり、免除されたりします。また公立施設の利用料やバスや鉄道など公共交通機関の運賃も無料になったり割引を受けられます。そのほか重い障害のある人の医療費を補助したり、福祉タクシー券を支給したりする自治体もあります。

交付対象となるのは

視覚、聴覚または平衡機能、音声言語機能またはそしゃく機能(噛みくだく機能)、肢体(上肢(上半身)、下肢(下半身)、体幹(背中に沿ってバランスを取る部位)、脳原性運動機能(脳に原因のある、進行しない病態)、内部(心臓機能・腎臓機能・呼吸器機能・膀胱または直腸機能・小腸機能)、免疫機能について障害等級が定められています。障害の認定は「永続する」障害に対して行いますので、障害の程度が一定固定したものであるか、将来とも回復する可能性が極めて少ないものに限ります。

がんの場合は、人工肛門造設あるいは尿路変更のストーマ造設等や喉頭部摘出による音声機能喪失などの場合障害者手帳の該当となりますが、胃の摘出や生殖機能の障害、血液、肝臓の障害などは適用外となっています。全身衰弱による寝たきりの状態は、一般に回復の可能性があるとして永続的な障害とは認められませんが、長期にわたって寝たきりであるために体の機能が身体障害の認定基準に合うような場合には申請できる可能性があります。

申請の方法

申請の窓口は、居住地の福祉事務所または市町村役場の福祉課です。窓口で診断書用紙をもらい、指定医の診断を受けます。指定医とは、身体障害者福祉法の規定により指定を受けた医師のことです。大病院であれば現在かかっている医師が指定医であることも多いと思います。現在受診している主治医が指定医でない場合は、主治医または福祉事務所に紹介してもらうとよいでしょう。申請書・診断書に写真を添えて提出し、判定の結果、障害等級に該当すれば、1~2カ月後に手帳が交付されます。

■身体障害者手帳の交付手続きの流れ
身体障害者手帳の交付手続きの流れ

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