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覚えておけばオトク!「初診料」のルールと節約術

黒田尚子●ファイナンシャル・プランナー
発行:2015年12月
更新:2019年11月

  

くろだ なおこ 98年にFPとして独立後、個人に対するコンサルティング業務のかたわら、雑誌への執筆、講演活動などを行っている。乳がん体験者コーディネーター。黒田尚子FPオフィス公式HP www.naoko-kuroda.com/

インフルエンザやウイルス性胃腸炎など、これから年末にかけて何かと病院に通うことが増える時期。そこで今回は、患者としてはじめて病院や診療所の外来に訪れたときにかかる「初診料」のルールやオトクな節約法をご紹介します。


現在適用されている2014年改定の診療報酬(2年に1回改定)によると、受診して1回目にかかる初診料は282点(1点につき10円=2,820円)です。実際には、自己負担3割の場合850円(10円未満は四捨五入)を病院の窓口で支払います(医科の場合)。

そして2回目以降にかかる再診料は、診療所・中小病院は72点=720円、ベッド数200床以上の大病院は73点=730円です。つまり初診料と再診料では、4倍近くも金額が違うことに。意外と「初診料」ってお高いんですね。

そこで覚えておきたい初診料の基本的な3つのルールです。

第1に、初診料は、はじめて診察を受けたときにかかるということ。いわゆるお医者さんの〝見立て料〟ともいうべきものです。

第2に、同時に2つ以上の病気やケガで病院に行っても、初診料は合わせて1回だけかかるということ。たとえば、同じ病院のお医者さんに、風邪と湿疹について診察を受けた場合などです。

第3に、1つの病気やケガの診療を継続中にほかの病気やケガが発生して初診を行った場合、新しく発生した分の初診料はかからないということ。

ちょっとわかりにくいかもしれませんね。具体的な事例でみてみましょう(図表参照)。

■初診料がかかる場合とかからない場合の事例(同じクリニックを異なる病気で受診した場合)

Aさんが、11/1に風邪(第1病)でBクリニックを受診した場合、初診料はかかります。けれども、風邪が治りきらない11/7に湿疹(第2病)で、同クリニックを受診した場合、初診料はかかりません。

しかし、11/24に胃腸炎(第3病)で、同クリニックを受診した場合、再び初診料はかかります。つまり、全病の治癒後の初診であれば、再び初診料の算定ができますので、1カ月の間に2回、初診料がかかるケースもあるのです。

あるいは患者さんが、自己都合で任意に診療を中止して一定期間(1カ月以上など)経過した場合、治癒したとみなされます。その後、同じ病院で同じ病気やケガによる診察を行っても初診料がかかりますのでご注意を(慢性疾患等、医師から指示があった場合を除く)。

さらに、同じ病院の2つ以上の診療科で診察を受ける場合、同じ日に診察を受けるなら、2つ目の初診料は複数科受診時の初診料となり、通常の半額の141点(1,410円)で済みます。

ですから、たとえばC大学病院で、内科と皮膚科に同じ日にかかった場合、初診料2,820円+1,410円(2科目加算)=4,230円です。でも別の日に皮膚科に行った場合は初診ですので、別途初診料2,820円がかかり、合計5,640円になります。その差額は1,410円、自己負担3割であれば420円の節約になります。

つまり、2つ以上の診療科に通院するときは、別の日に受診するよりも同日のほうが、医療費がオトクになるというわけです。

 

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