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知って得するさまざまな制度(7) 生活保護

文:山田由里子 社会保険労務士
発行:2005年4月
更新:2019年8月

  

医療費の負担が大きく、生活が苦しい場合に検討したい制度です。最低生活費の算出のしかたは物価の違いや生活様式の差に対応して、市区町村によって違います。

どんな制度か

病気や障害などで働けなくなったり、働いていても収入が少なかったりして生活に困る場合、生活保護を受給するという方法があります。生活保護とは、生活に困窮している国民に対して国が最低限度の生活を保障し、自分の力で生活していけるようになるまで援助する制度です。これは、憲法第25条の「すべて国民は健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」という規定を具体化したもので、生活保護を受ける要件を満たしていれば受けることができます。

支給される条件

■最低生活費と収入
最低生活費と収入

生活保護は、まず、働ける場合はその能力、土地・預貯金などの資産、その他あらゆるものを最低生活維持のために活用し、さらに扶養義務者の援助、年金、各種手当など、他の法律による給付を優先し、それでもなおかつ生活に困窮する場合に初めて受けることができます。保護の程度は、国が定めた基準により計算された最低生活費とその世帯の収入の対比により決定され、その不足分について金銭又は現物により給付されます。収入とは、世帯員全員の収入の合計で、働いて得た収入だけでなく、年金・手当など他の法律により支給される金銭、親や兄弟姉妹などからの仕送り援助、資産処分による収入なども含まれます。

生活保護の種類

■例 [3-1級地](関東地方6万人程度のある市の例)
例 [3-1級地](関東地方6万人程度のある市の例)
:17年4月より生活保護法全般の改正が予定されています。
収入とは働いて得た賃金だけでなく、年金、手当等、親族の援助、
資産売却収入等すべて含みます

生活保護は世帯の状況に応じて、次の8種類の扶助の中から必要なものが適用されます。生活保護の基準額は、居住地ごとに異なります。物価の違いや生活様式の差に対応して、全国の市区町村は6区分に分類されており、給付水準は大都市では高く郊外地では低く設定されています。

生活扶助…… 衣料費、食料費、光熱費など日常生活の需要を満たすために必要なもの
教育扶助…… 義務教育(小中学校)に必要な教科書、学用品、学校給食費など
住宅扶助…… 家賃や、補修など住宅の維持に必要なもの
医療扶助…… 診察、処置、手術などの治療、薬剤など
介護扶助…… 居宅介護、福祉用具、住宅改修など
出産扶助…… 出産費用
生業扶助…… 生業に必要な資金、職業能力開発校等の費用
葬祭扶助…… 葬儀費用

治療中の場合、医療費は最低生活費に含めません。でも生活自体はなんとかなりたっているが病院代の支払いが大変というような場合、生活保護に認定してもらえれば医療扶助が受けられます。医療扶助が受けられると、医療費の全額を負担してもらうことができます。

申請の方法

相談窓口は、福祉事務所または、市区町村の福祉課です。生活保護の申請をすると、福祉事務所の地区担当員(ケースワーカー) が家庭訪問等をして、生活の状況や健康状況、仕事の内容や収入・資産の状況などの聞き取り調査をします。必要に応じて銀行や生命保険会社、病院などの関係先に照会することもあります。これらの調査の結果に基づいて生活保護が必要かどうかが決定されます。

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