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知って得するさまざまな制度(6) 遺族年金

文:山田由里子 社会保険労務士
発行:2005年4月
更新:2019年8月

  

一家の大黒柱が亡くなったとき、残された家族に支給される年金制度です。家族の間で話づらいかもしれませんが、知っていれば経済的に安心です。

どんな制度か

一家の大黒柱が亡くなったとき、残された遺族に支給されるのが遺族年金です。厚生年金からは「遺族厚生年金」、18歳未満の子供がいる場合には国民年金から「遺族基礎年金」が支給されます。

遺族年金の受取りパターンを大きく分けると次の2つのケースがあります。現在仕事をしている人(年金制度に加入して保険料を納めている人)が死亡し、その人によって生計を維持されていた配偶者や子などが年金を受けるケースと、すでに仕事をリタイアした人(老齢年金をもらっている人)が死亡し、その人によって生計を維持されていた配偶者が年金を受けるケースです。

支給される条件

■遺族厚生年金がもらえるケース
遺族厚生年金がもらえるケース

自営業の夫(国民年金加入者)が死亡したときは、扶養している18歳未満の子ども又は、1級、2級の障害の状態にある20歳未満の子があれば、遺族である妻は遺族基礎年金が月額79万2100+22万7900=102万/12=8万5000円もらえます(子が1人の場合)。遺族基礎年金の対象となるのは、このように18歳未満の子をもつ妻か、18歳未満の子(ただし親と一緒に住んでいない子)だけです。

いったんもらい始めた遺族基礎年金も、ずっともらい続けることはできません。時が経過して、18歳未満だった子が高校を卒業する3月末(1級、2級の障害の状態にある子は20歳まで)になると遺族基礎年金は終了します。遺族基礎年金は子育て支援年金なのです。

会社員である夫が死亡したときは、遺族基礎年金に加えて遺族厚生年金ももらえます。遺族厚生年金は18歳未満の子の有無にかかわらず、妻が一生涯受け取ることができます。遺族厚生年金の支給額は本人の生存中の給与水準と加入月数に応じた額となりますが、若くして死亡したような場合は障害年金と同様に300月(25年)の加入があったものとして年金額が計算されます。

18歳未満の子がいない場合

18歳未満の子ども又は、1級、2級の障害の状態にある20歳未満の子がいない場合は、遺族基礎年金はもらえません。厚生年金加入中の死亡や、老齢厚生年金受給者が死亡したときは遺族厚生年金がもらえます。

給付額は、在職中の給与水準と加入月数に応じた年金額です。在職中の死亡や厚生年金に20年以上加入している人の死亡の場合、夫の死亡時において35歳以上の妻は中高齢寡婦加算という年金(月額約5万円)が、妻が40歳から65歳になるまで上乗せされます。

保険料をきちんと納めているか

すでに老齢年金をもらっている人や老齢年金をもらう条件(原則25年以上公的年金に加入して保険料も納めていること)をクリアしている人の死亡のときは関係ありませんが、まだ保険料納付義務のある60歳未満の人が死亡した場合、保険料をきちんと納めていたかどうかが年金をもらうための条件のひとつになります。

在職中ならば保険料未納という事態にはなりませんが、そうでない療養中の場合、収入が途絶えたり医療費負担などで家計が困窮して、国民年金の保険料まで負担できないことも考えられます。どうしても払えないときでも安易に保険料滞納などせず、免除申請の手続きを必ずしましょう。窓口は市区町村役場の国民年金課です。

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