乳頭部がん。術後に注意しなければならないことは?
68歳の母の目が黄色くなったような気がして、病院を受診。胆管の下部の十二指腸の出口の乳頭部と呼ばれるところに、がんが発見されました。乳頭部がんで、すい臓にもがんが浸潤していたため、胆管切除と同時に、すい頭十二指腸切除もしました。難しい手術だったようですが、何とか乗り切ることができました。お聞きしたいのは手術後に注意しなければならないことと、今後の治療法についてです。
(宮崎県 女性 37歳)
A 胆管炎を起こすことが。対処方法をあらかじめ主治医と相談しておく
肝臓で作られた胆汁は、胆管に集められて、十二指腸に流れていきます。この流れは一方通行です。
十二指腸への出口のところをファーター乳頭部と呼び、これが一方弁の働きをするため、胆汁は一方通行となっています。乳頭部がんの手術では、このファーター乳頭部を切って、胆管と十二指腸とをつなぎます。そのため、手術後、腸液が胆管に逆流して、胆管炎を起こすことがあります。
胆管炎はこじらすと重症感染症になるため、38度以上の熱が続く場合は、「かぜだろう」などと自己判断して様子を見てしまうのは危険です。対処方法を、あらかじめ主治医とよく相談しておいてください。
あらかじめ抗生物質を数日分もらっておいて、熱が出た場合に飲み始める、それでも熱が続く場合は主治医に連絡する、というようなルールを作っておいてもらうとよいかもしれません。
乳頭部がんにおいても、手術後に再発を予防する目的で抗がん剤を行うことの是非は明らかにされておりません。再発がないかどうかを定期的に画像や採血などで、経過を見ていくことが適切です。経過観察については、「Q:胆嚢がん術後の再発予防には、どんな治療がよいか」を参考にしてください。
再発した場合にはやはり、ジェムザールとシスプラチンの併用療法が第1選択となります。詳しくは、「Q:進行した中部胆管がん。どんな内科的治療があるのか」を参考にしてください。