BCA225腫瘍マーカーが上昇してきて心配
2011年に乳がんステージⅠで乳房温存手術を行いました。悪性度2、ホルモン感受性は5%未満、HER2陰性で抗がん薬と*リュープリン(一般名リュープロレリン)を2年、*ノルバデックス(一般名タモキシフェン)を5年行いました。2012年放射線肺蔵炎でステロイド治療、最近は逆流性食道炎からバレット上皮に。
そこでご相談です。2011年にBCA225腫瘍マーカーは135でしたが、2016年から基準値を越えて200、220、230と上がって行っています。他のマーカーは基準値内で、エコー、マンモグラフィ、胸のCT、腹部エコーで、異常は見つかっていませんが、心配は消えません。
このマーカーの上昇は何を意味していますか? 乳がん再発転移の可能性が大きいのでしょうか? ホルモン薬を飲むことは再発転移の予防になっているのでしょうか?
(53歳 女性 福岡県)
A 腫瘍マーカーに振り回されるな
乳腺外科医長の上野貴史さん
BCA225腫瘍マーカーが徐々に上昇しているということは、微小ながんの再発が起きている可能性は否定できません。腫瘍マーカーの上昇が、画像検査で再発を認める6〜12カ月以前に起きることが指摘されています。
ただし、BCA225は稀に良性の病変で上昇することもあり、乳がん以外の病変で上がることもあり得るので、断定はできません。このまま数値の推移を経過観察するのが通常の方針です。
この患者さんのように腫瘍マーカーを測ると、いたずらに心配の種が増えるだけのこともあり、治療ガイドラインでは腫瘍マーカーの測定は勧められていません。仮に早期に遠隔再発が見つかっても、早期治療による延命が証明されていないからです。
「ホルモン薬を飲むことは再発転移の予防になっているのでしょうか」とのご質問ですが、あまり患者さんに負担をかけない方法としてホルモン薬を飲んでみて、腫瘍マーカーの数値が下がるかどうか、見てみるのも1つの方法かも知れません。
ただ、この患者さんの場合、ホルモン感受性が5%と低いので、ホルモン薬の効果が弱い可能性が心配です。
治療意義は証明されていないので、あまりお勧めできませんが、このまま経過をみるだけなのがどうしても不安なら、補助療法として抗がん薬を施行することを考慮されてみては如何でしょうか。