腫瘍マーカー上昇。今後の治療法は?
*FEC療法(術前化学療法)後に左乳房小葉がん全摘+腋窩リンパ節郭清術を受けました。皮膚と乳頭に浸潤があり、リンパ節8カ所に転移がありました(ホルモン陽性・HER2陰性)。術後に、放射線治療とホルモン療法(*ノルバデックス)に入りましたが、PET検査で左腋窩から左鎖骨窩にかけて淡い集積が見つかり*フェマーラに薬剤を変えました。現在もホルモン療法(*フェアストン)を継続中ですが、術前化学療法時から腫瘍マーカーが毎月上昇しています。ただ、画像に腫瘍などは映っていないそうです。今後は抗がん薬療法となるのでしょうか?
(48歳 女性 富山県)
A ホルモン抵抗性の有無を判断する
PET検査で淡い集積が見つかり、腫瘍マーカーが上昇を続けているともありますので、再発の可能性が高いと思われます。
ホルモン療法は、1度効果がありその後に効かなくなった場合は、薬剤を変えることで再度試みます。しかし、薬剤を変えても、1度も効果が現れない場合は、ホルモン抵抗性が高いと考えられ、抗がん薬治療へと変えることが一般的です。
ただし、ホルモン抵抗性の有無の判断は絶対的なものではありません。質問者の場合、再発による症状は何もないようですから、次のホルモン薬として*フェソロデックスを試してみることも良いかもしれません。
その理由として、乳癌診療ガイドラインに従えば、術後経過観察にPET検査やマーカー測定は通常施行しないため、もしこれらの検査をしてなければ、再発も見つかっていない可能性が高く、副作用の強い抗がん薬治療を早期に開始することが、本当にメリットになるかどうか不明だからです。
また、近いうちにフェマーラ治療後のホルモン陽性・HER2陰性進行性乳がん患者さんに対する新たな分子標的治療薬として、*アフィニトールが追加適応される予定です(14年1月現在)。
副作用がやや強いですが、今後、抗がん薬へ移行する前に、アフィニトール+*アロマシンが試せるかもしれません。
*FEC療法=フルオロウラシル(商品名5-FU)+エピルビシン(商品名ファルモルビシン)+シクロホスファミド(商品名エンドキサン) *ノルバデックス=一般名タモキシフェン *フェマーラ=一般名レトロゾール *フェアストン=一般名トレミフェンクエン酸塩 *フェソロデックス=一般名フルベストラント *アフィニトール=一般名エベロリムス *アロマシン=一般名エキセメスタン