再発の可能性を抑えたい。抗がん薬治療をしたほうがいいか

回答者・上野貴史
板橋中央総合病院外科医師
発行:2014年11月
更新:2015年2月

  

46歳、閉経前です。9月に右乳房摘出手術を行いました。病理検査の結果、「がんの大きさ1.8㎝、リンパ節転移なし、ホルモン受容体陽性、HER2陰性、脈管侵襲あり(中等度)、Ki-67値15%」と言われました。

主治医からは、ホルモン療法だけでもいいし、抗がん薬治療はやってもやらなくてもいいと言われました。抗がん薬を行う場合は、FEC療法かTC療法と言われています。抗がん薬治療は必要でしょうか?できるだけ再発転移の可能性を低くしたいです。

(46歳 女性 群馬県)

ホルモン療法+抗がん薬治療を

板橋中央総合病院外科医師の
上野貴史さん

この方の場合、乳がんのタイプ別の分類は、「ルミナルA」になり、基本的にはホルモン療法が主体で抗がん薬治療は省略可能と思われます。ただ、ご本人の希望として、少しでも再発転移の可能性を低くしたいということであれば、上乗せ効果は少ないですが、ホルモン療法に抗がん薬治療を併用してもいいかと思います。ガイドラインでも、抗がん薬治療選択において最も重視する要因として「患者さんの希望」を挙げています。その場合に使う抗がん薬ですが、FEC療法とTC療法とを直接比較する臨床試験は行われてはいませんが、効果はだいたい同等と考えていいでしょう。

副作用の点から言うと、FEC療法ではファルモルビシンを使うので、影響は少ないですが心毒性がないとは言えません。一方、TC療法ですが、タキソテールを使うため、少ししびれが残る可能性があります。また、TC療法は3週ごと4サイクルで終わるのに対し、FEC療法は6サイクル行うのが標準であり、TC療法のほうが治療期間が短くて済みます。ただし残念ですが両者とも脱毛が起こります。以上の点を踏まえて、選択すれば良いでしょう。

化学療法後のホルモン薬ですが、閉経前なので、ノルバデックス単独での内服治療が基本です。ノルバデックスの服用期間は以前は5年が標準でしたが、今年5月にASCO(米国臨床腫瘍学会)ガイドラインの改訂があり10年が標準と変更されました。ノルバデックスを5年間服用し、終了時点でもし閉経していたなら、アロマターゼ阻害薬をさらに5年間、もしくはノルバデックスを続けて5年間(計10年)服用します。なお、閉経前のホルモン療法として、ノルバデックスにLH-RHアゴニスト製剤を併用する効果を調べる臨床試験(SOFT試験)が現在行われており、その結果が今年12月に米国の学会で発表される予定です。現時点では必ずしも併用する必要はありません。

FEC療法=5-FU+ファルモルビシン+エンドキサン タキソテール=一般名ドセタキセル TC療法=タキソテール+エンドキサン ファルモルビシン=一般名エピルビシン ノルバデックス=一般名タモキシフェン

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