手術後のしびれがつらい。対処方法はないか

回答者・上野貴史
板橋中央総合病院外科医師
発行:2014年11月
更新:2015年2月

  

2007年12月に左乳房温存手術を受けました。がんの大きさは2㎝弱で、リンパ節に2個転移があり、放射線、抗がん薬治療(FEC療法 6回、その後タキソテール 2回)を受けました。がんのタイプはルミナルAで、ホルモン薬を服用していましたが、胸の痛みがあり、2年9カ月で止めました。

現在、手足のしびれに悩まされています。病院から処方された、リリカ、ノリトレン、メチコバールを半年ほど使用しましたが、効果がありません。他にも、喉の違和感、みぞおちに鈍痛などがあり、胃カメラ(内視鏡)の検査を行い、慢性胃炎(萎縮性)、食道ヘルニアと診断されました。しびれとともに、胸のチリチリ感、お腹の膨満感などで夜は1時間半~2時間で目が覚めます。

このしびれをとる方法はないのでしょうか。他にも、髪の毛が生えてこなくて現在ウイッグなしでは外出できないこともつらいです。

(70歳 女性 北海道)

まずはサインバルタの服用を

板橋中央総合病院外科医師の
上野貴史さん

化学療法後の抗がん薬によるしびれに関しては、今年(2014年)4月にASCOがガイドラインを出しています。それによると、サインバルタという薬が第1選択薬として勧められています。ただし、この薬は、日本ではうつ病や、糖尿病による神経障害性疼痛の適応で承認されており、抗がん薬によるしびれに関しては、適応外使用となります。

サインバルタは他の薬剤と比較して、著しく効果が期待できるとまでは言えませんが、現在のところ、データ上では最も効果が高いと考えられています。まずはこの薬を試されてはいかがでしょうか。

タキソテール 2サイクルでは通常、神経障害が残ることは稀であり、他の原因による神経障害の可能性も調べてみる必要があるかもしれません。サインバルタでも無効だった場合ですが、手術後の神経障害などを扱っているペインクリニックを受診する、あるいは、抗がん薬の副作用だけでは説明しにくい様々な訴えがあるので、心療内科の受診を考えられてもいいかもしれません。

髪の毛に関してですが、抗がん薬使用後、髪質が変わったりすることはあります。抗がん薬治療後7年も影響が残ることは稀ですが、確実な治療法はなく、養毛剤などを使うしか方法がありません。他にも、今使われているようにウイッグなどをご活用されることをお勧めします。

リリカ=一般名プレガバリン ノリトレン=一般名ノルトリプチリン メチコバール=一般名メコバラミン サインバルタ=一般名デュロキセチン

同じカテゴリーの最新記事

  • 会員ログイン
  • 新規会員登録

全記事サーチ   

キーワード
記事カテゴリー
  

注目の記事一覧

がんサポート4月 掲載記事更新!