右乳房わき下にしこり。再発・転移か?

回答者:上野 貴史
板橋中央総合病院 外科医師
発行:2011年4月
更新:2014年1月

  

昨年4月に右乳がんの乳房温存手術を受けました。病期2Aで、がんの大きさは12ミリ、リンパ節転移が2個ありました。抗がん剤治療は行わず、放射線治療を受け、現在はホルモン剤のフェマーラを服用しています。そうした中、昨年末に手術した右乳房のわきにしこりを見つけました。大きさは小さいのですが、固くて、触るとはっきりとしこりとわかります。質問は次の5点です。①再発・転移でしょうか(リンパ節に転移しているのでしょうか)。②もしそうであるなら、こんなに早く再発・転移するのでしょうか。③次回(3カ月後)の診察まで様子をみればいいかと思っているのですが、それまでにしこりは大きくなりますか? 現在とくに痛みはありません。④転移している場合、CTでどのように写りますか? ⑤治療しなかった場合、以前のご回答にあったように3年の命でしょうか?

(新潟県 女性 58歳)

A 再発・転移も考えられる。すぐに主治医に診てもらうべき

まず①②③について先にお答えします。通常、手術してから3年くらいたってから再発することが多いのですが、1年以内に再発するケースも稀にあります。

ただし、ご相談者の場合、しこりが右乳房のわきの下ということで、局所再発、あるいはリンパ節に再発した領域再発の可能性が高く、遠隔転移ではありません。ですので、治療をすれば十分治る可能性はあります。

また、がんの再発ではなく、手術時の傷周囲の肉芽であったり、脂肪が硬くなったものなどの可能性もあります。いずれにしろ次回診察まで様子をみるのではなく、すぐにでも主治医の先生に診てもらうことが必要です。

徐々に大きくなるしこりの場合、がんの可能性があります。また、痛みに関しては、がんであった場合でも普通起きることはありません。

④に関して、転移しているかどうかを診断する場合、CT検査はあまり有用でなく、通常超音波検査(エコー)を用いるのが一般的です。またその際に、細胞診や針生検を行って、診断をつけます。

⑤の予後に関して、以前お話しした3年というのは、乳がんが肺などに遠隔転移した場合の平均予後をお伝えしたものであり、今回考えられるような局所再発のケースにはあてはまりません。局所再発なら、再切除により治癒することも期待できます。

したがって治療しないという選択は絶対にお勧めできません。

フェマーラ=一般名レトロゾール

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