子宮体がんの1a期(類内膜腺がん)と診断。黄体ホルモン療法の選択は妥当か
先日、婦人科を受診したところ、子宮内腫瘤と言われ、その後の病理検査の結果、子宮体がんの1a期(類内膜腺がん)と診断されました。医師からは、子宮体がんで1a期の場合は、子宮摘出手術以外に、高用量黄体ホルモン療法という治療法もあると言われました。MRI検査の結果は異常はなく、黄体ホルモン療法も可能とのこと。子宮を摘出せずに済むということで、黄体ホルモン療法を選択しようかと思っています。私のようなケースで、黄体ホルモン療法の選択は妥当なのでしょうか。副作用や、再発のことなどを考えると、子宮摘出手術を受けたほうがよいのでしょうか。
(栃木県 女性 35歳)
A 効果が出ない場合は、摘出することも
最近、若年の子宮体がんの方で、ホルモン療法を希望する方が増えてきています。しかし、高用量黄体ホルモン療法を使用する条件には、お書きになっている「子宮体がんで1a期の場合」以外に、「将来的に出産を強く希望する」ことも挙げられます。その上で、子宮を切除したくないということであれば、年齢を考えても、高用量黄体ホルモン療法の適応は十分にあると思います。
ただし、この療法には血栓症という命に関わる副作用があります。もともと血栓症のある人や、血液が固まりやすい体質の人などは原則として黄体ホルモン療法は行わないことになっています。また、黄体ホルモンを大量に投与すると、肝機能障害が起こることもあります。
ご相談者のような状況のがんに対して、黄体ホルモン療法は効果があるといわれてはいますが、効かなかった場合には、その間にがんが進展することがあります。ですから、治療中も十分な検査をしながら受けることをおすすめします。
約3カ月後に検査を受けてみて、もしあまり効いていないようなら、黄体ホルモン療法はあきらめざるをえないケースもあります。その場合は、手術で子宮を摘出したほうがよいでしょう。効果が充分でなかった場合にさらに3カ月続けてみて、もう1度、状況を確かめてみるという選択肢もありますが、がんの進行の危険を伴います。
黄体ホルモン療法のメリットは、出産できることです。しかし、治癒する確率も、安全性も、より高いのは子宮摘出手術です。赤ちゃんがどうしても欲しい場合には選ばれる治療法であることと副作用を充分にご理解ください。そして、黄体ホルモン療法を受けるのなら、治療経験の多い医療施設で、慎重にお受けになることをおすすめします。
黄体ホルモン療法が効を奏した場合は、出産することも可能です。今のところ、赤ちゃんへの治療の影響はあまり心配しなくてよいといわれています。