2014年12月
1980年代に登場した抗がん薬ですが、その高い治療効果から、現在でも、肺がんをはじめ多くの種類のがんで、化学療法におけるキードラッグとして重要な役割を果たしています。悪心・嘔吐など強い副作用がありますが、制吐薬などの支持療法が進歩し、かつてのように苦しまずに治療が受けられるようになっています。どんな薬?――シスプラチン 表1 シスプラチンの適応(がん) ◎抗がん薬のイメージを作った薬 *シスプラチ...
2014年11月
「乳がん」と一口に言っても、閉経前と閉経後では使用される薬は異なります。今回紹介するのは、閉経後の乳がんの術後の再発予防や、再発・進行乳がんの進行抑制のために使用されるホルモン薬です。アリミデックスは、閉経後乳がんの1次治療の第1選択として使用されている薬です。どんな薬?――アリミデックス ◎作用――ホルモン陽性閉経後乳がんで エストロゲンの生成を阻害 *アリミデックスは、閉経後の乳がん治療に使用...
2014年10月
転移性腎がんに適応を持つ分子標的薬の中で、1次治療で最もよく使用されているのがスーテントです。効果は高いのですが、副作用も強いのが特徴。治療を継続するためには、投与量の調整や適切な副作用ケアが必要です。新しい分子標的薬として、2012年にインライタ、2014年にヴォトリエントも登場しています。どんな薬?――スーテント *スーテントは転移性腎がんの治療に用いられている分子標的薬です。いくつかの標的分...
2014年9月
慢性骨髄性白血病(CML)の画期的な治療薬としてイマチニブが世に出て約10年。第2世代の薬であるダサチニブ、ニロチニブも登場していますが、慢性骨髄性白血病治療の第1選択はやはりイマチニブです。治療成績の向上とともに、現在の話題は、「服用を中止できるか」に移ってきています。発売後10年を迎えたイマチニブの現状とこれからの課題を追いました。慢性骨髄性白血病とは――どんな病気? 慢性骨髄性白血病は、骨髄...
2014年8月
ホルモン療法後に治療抵抗性を示す、去勢抵抗性前立腺がんには、これまで抗がん薬のタキソテールでしか打つ手がありませんでした。そこに新たな一手として登場したのが、抗アンドロゲン薬のイクスタンジです。タキソテールの治療効果が消失した患者さんにも、生存期間を延長するなどの効果が確認されています。去勢抵抗性前立腺がんとは――これまでの治療 前立腺がんは、男性ホルモン(アンドロゲン)に依存して増殖することがわ...
2014年7月
日本発の進行大腸がん治療薬、ロンサーフ。第Ⅱ相試験でプラセボ(偽薬)群と比べて有意に全生存期間(OS)を延長させたことが評価され、異例の速さで承認されました。進行大腸がん治療に新たな選択肢をもたらすと期待される一方、世界で初めて臨床使用されるだけに、より慎重な取り扱いが求められています。どんな薬?――ロンサーフの特徴 ◎進行大腸がん治療での位置づけ*ロンサーフは、今年5月26日に発売されたばかりの...
2014年6月
HER2陽性の乳がんは予後が比較的悪いといわれていました。しかし、2008年にハーセプチンが登場したことにより、生存率、再発率は大きく改善。現在ではHER2陽性乳がん治療の必須の薬剤となっています。最近次々に登場したHER2陽性乳がん治療薬を上乗せして使用することで、さらなる治療効果がもたらされています。どんな薬?――ハーセプチンの特徴 *ハーセプチンは、がん細胞にある「HER2タンパク」と呼ばれ...
2014年5月
エルプラットは、2005年に承認された比較的新しい抗がん薬です。大腸がんの治療薬は5-FUのみだったところにエルプラットが登場し、生存期間や症状が安定する期間は大きく伸展しました。再発予防の効果もそれまでの抗がん薬よりも高く、まさに「大腸がん治療を大きく変えた」薬といえます。どんな薬?――エルプラットの特徴 *エルプラットは、「白金製剤(プラチナ製剤)」と呼ばれる抗がん薬の仲間です。がん細胞が増...
2014年1月
乳がん術後の代表的なホルモン療法薬として長く使われてきたノルバデックス。現在、術後5年間の服用が標準治療となっています。この2年間で国際的な臨床試験(ATRAS試験、aTTom試験)の結果がまとまり、服用をさらに5年間継続する合計10年間の治療によって、再発などのリスクが軽減することが明らかになりました。乳がん手術後のホルモン療法薬乳がん全体の約7割にあたるホルモン受容体陽性の乳がんでは、女性ホル...
2013年12月
パージェタはHER2陽性乳がんのための新しい治療薬です。手術できない進行再発乳がんで、HER2が陽性の場合、従来は「ハーセプチン+抗がん薬」の併用療法が行われてきました。この併用療法に、さらにパージェタを加えて3剤併用療法にすると、がんが悪化し始めるまでの期間である「無増悪生存期間(PFS)」、および「全生存期間(OS)」が延長することが証明されています。また一歩、乳がんの薬物治療が進歩しました。...