2018年10月
「遺伝子検査はがんの精密な治療選択の上で大きな意味がある」と語る土原一哉さん がん患者のゲノム(遺伝子情報など)を調べて、がん細胞の遺伝子変異を検出し、それに見合ったより効果の高い治療法を選ぶ「ゲノム治療」。厚生労働省は、がん医療を充実させるための重点施策として取組みを加速させている。このゲノム医療のベースになるのが「遺伝子検査」だ。近年、先進医療として実地応用が進んでいる。このように遺伝子検査、...
2018年10月
「日本でもゲノム医療の実施体制の整備が急ピッチで進められています。これからは遺伝子情報が薬剤選択に重要になってくる時代。将来的には膵がんにおいてもゲノム医療が治療の中心になっていくと期待できます」と語る金井さん 近年、注目が集まる「ゲノム医療」。ゲノムとは遺伝子(gene)と染色体(chromosome)から合成された言葉で、ヒト(生物)が持つすべての遺伝子情報のことだ。膵がんにおいても網羅的なゲ...
2018年9月
「子宮体がんに関しては、ダヴィンチ手術は出血が少なく開腹手術と比較しても予後も差がなくて患者さんにとってメリットが大きい」と話す佐々木寛さん 手術支援ロボット、通称ダヴィンチ手術は日本では2012年4月前立腺がんに、2016年4月腎臓がんに保険適用されていた。今年2018年4月からその対象が大幅に拡大され、肺がん、食道がんなど12件に対して新規保険適用された。婦人科がんでは子宮体がんに対して適用。...
2018年9月
「再発卵巣がん治療の難しさは今も変わりませんが、リムパーザを使うことで6年以上という長期間、再発せずにいける人が増えてくるはずです」と語る竹島さん 卵巣がんに、新たな分子標的薬リムパーザが承認された。がん細胞のDNA修復機構を壊し、がん細胞自体が死に至るよう導くという機序(メカニズム)を持つ。今年(2018年)4月に発売開始されて現時点で4カ月。リムパーザのメカニズムと可能性、そして、副作用の出方...
2018年9月
「いつもと違うと感じたときは、婦人科にできるだけ早く相談して、自分の体は自分で守るという気持ちが大切です」と話す石川光也さん 子宮頸がん、子宮体がん、卵巣がん。妊娠・出産に関わる、女性にとって重要な臓器に発症するがんだ。近年、あらゆるがん治療で、その治療法が進化するなか、女性特有のがんであるこれらのがん治療の現状はどうなのか。そして今後の展望は? わが国の婦人科がんの臨床・研究をリードする、国立が...
2018年9月
「今回の試験の結論としては、術前化学療法が、全ての患者さんにおいて、手術先行治療に対する代替療法として、常時位置づけられるのは難しいということになりました」と語る恩田貴志さん 多くの固形がんを根治に導くには、手術が必要だ。昨今では、早期がんであれば、後遺症を考慮して、機能温存のための縮小手術も行われる。しかし、卵巣がんは、大部分が他臓器にも転移を有する進行がんで、周囲の臓器を含め、徹底的に切除する...
2018年8月
「アバスチンは、シグナル分子VEGFを捕獲することで、血管新生阻害だけでなく、免疫機能アップに関与していると考えられます」と語る高橋俊二さん 現在、化学療法との併用で使われることがほとんどのアバスチンは、分子標的薬の中では少々、特殊な存在かもしれない。がん細胞に直接作用するのではなく、がん細胞を巡る環境に働きかけるアバスチンのメカニズム(作用機序)と今後の可能性に焦点を当ててみた。 アバスチンとは...
2018年8月
「肝細胞がんの治療がやっと次の時代に突入したかなという感じです」と語る池田公史さん 今年(2018年)3月、マルチキナーゼ阻害薬レンビマが、「切除不能な肝細胞がん」に日本で承認された。これは、切除不能な肝細胞がんに対する世界で最初の承認であり、肝細胞がん全身化学療法の1次治療薬としては実に約9年ぶりの新薬になるという。肝細胞がんの治療において、この新薬の位置づけはどのようなものだろうか。また、今後...
2018年8月
「今後、さらに免疫の仕組みが解明されていくことで、免疫チェックポイント阻害薬をはじめとするがん免疫療法の開発はますます前進していくことでしょう」と語る北野滋久さん 分子標的薬は、分子生物学的知見に基づいてデザインされた抗体薬だ。免疫チェックポイント阻害薬も同様の知見に基づいてデザインされた同じ抗体薬であるが、作用機序(メカニズム)が異なるため両者を区別するケースが多い。免疫チェックポイント阻害薬は...
2018年8月
Bruce E. Johnson会長 米国臨床腫瘍学会(ASCO)の2018年年次集会(ASCO2018)が6月にシカゴで開催された。今年のテーマは “Delivering Discoveries: Expanding the Reach of Precision Medicine(新しい発見を適用し、プレシジョン・メディスン 最適化医療の範囲をより拡大する)”。これは個々のがん患者に対し、より適...